クロスの貼り分け。腰壁のちょうど良い高さ教えます


◇まず、腰壁とは?

◎腰壁といっても、2種類あります。

 

腰壁は二つの意味があります。

 

①足元から腰高さ程度までしかない「壁」のこと

②壁の中で腰高さ程度までの「デザイン」のこと

 

前回は、①の腰壁高さの決め方について解説しました。そちらに興味のある方は下記リンクからご確認ください。

(→腰壁の高さは自由に決めよう)

 

ということで、今回は②の「デザイン」側の解説をしていきましょう。

 

◎腰壁の貼り分けは、世界の常識?

壁を、ちょうど腰高さくらいで、上下に貼り分けをするデザイン、見たことがありませんか?腰下部分が木材や木目調のデザインで、上部がクロスや塗り物であることが多いですね。


リビングや廊下などに多く使われる手法で、現在ではデザイン的な意味がほとんどです。クロスを、腰高さで上下に違う色や柄の組み合わせで貼り分ける。これを「おしゃれ」として取り入れている方が、結構多いのです。

 

壁紙の各メーカーでも様々な色の組み合わせを提案しており、毎年新しいコンセプトによるラインナップが豊富です。

 

実はこの手法、別に日本に限ったものではありません。世界中で古くから用いられております。そもそもデザイン的な意味があったかどうかはわかりませんが、その目的は違いました。


「壁の中でぶつかりやすかったり、傷つきやすかったりする箇所を補強」という意味で用いられ、取り替えやすくする意味があったと言われています。

 

羽目板貼りなどをよく見かけますが、これは腰壁を木材にすることで強度が増し、傷や汚れから守ることができるという意味があるわけです。現在ではそのデザインだけが残っており、実際貼り替えのしやすさは特にありません。

  

◎あなたの考えで決まる「腰壁」

そのデザインはアイデア次第。クロスを張ることもあれば、板を張ることもあります。よく脱衣場の床に張るような「クッションフロア」を張ることだってあります。そうすると、水に強かったりもします。まさにアイデアですね。

 

ただ、現在においても腰から下の部分は、ぶつかりやすいことは確かであり、傷みやすいのも間違いありません。高級なクロスなどを採用するときは注意が必要です。くつろげるはずの家のはずが、やたらと気を遣うという破目になってしまうことも…。

 

腰壁はペットがいるご家庭、お子さんがいるご家庭、車いすを使うご家庭、ぜひ検討してみてほしいと思います。

 

ではその腰壁、高さはどのくらいがオススメなのでしょうか?

◇高さを決めるポイント

ところでこの「貼り分けの高さ」ですが、一体何を基準に決められているのか、ご存じですか?


実は規定はありません。黄金比みたいなものもありません。経験上で多いのは80cm〜100cmというところ。ネットで調べると、メーカーでは70~100㎝とも言ってたりします。

 

つまり「規定は特にないので、一番素敵な高さにしなさい」ということになるわけです。・・・困ってしまいますよね。

 

なので、実際の決めるポイントを3つ提案いたします。

 

このポイントを抑えてみると、スムーズに張り分け高さが決められるはずです。

◆①好みの高さにする

これをポイントといっていいのかはわかりませんが、読んで字のごとくですね。とてもシンプルな回答になってしまいますが…好きな高さにすればいいのです。


私の携わった物件でも80cm〜200cmまであり、もはや腰壁といってよいのかどうか。こだわりがあるのであれば、そのようにして構わないということなのです。

◆②家具や窓などの高さに合わせる

多くの場合、キッチンの天板高さに合わせます。

他には、ドアの中心にしたり、ローボードの高さにしたり。目立ちやすい「家具」の高さに合わせて貼り分けると、横ラインがスッキリ見えるということですね。

 

また、窓の高さに合わせて決めるのも一つの手です。これも非常に多い手法。

一般的な引き違い窓だと、床から80㎝前後の腰壁が残る場合が多いです。そのサイズに合わせることで統一性が出て、空間にメリハリが生まれるでしょう。

◆③材料の節約

実際には、この理由が最も大きいと思います。


日本は「尺貫法」という長さの考え方が根強く残っています。特に建築業界では「何尺」や「何寸」と言った長さのものであふれています。間取りの基本寸法で良く使われる「910mm」のマスの考え方も、「三尺(サンジャク)」であり「半間(ハンケン)」と言う考えから来ています。


そんな理由ににより、建築資材には910や900と言う寸法のものが多く、板材もクロス材も、石膏ボードもグラスウールもその規格に合わせて作られているのです。

 

つまり「腰高さを90cm以下にする」ということが、もっとも効率が良く、安く抑えられるということになるのです。捨てるものが少なければ、エコですしね。

◇まとめ

まとめるとこうなります。

 

◎腰壁に決まった基準はなし

◎周りのものに合わせるのもベター

◎コスパが良いのは90cm以下にすること

人それぞれの美的感覚ですので、いろんなカタログを見て、ネットで検索してみて、友達に聞いてみて。そして自分の「腰壁」を作ってみてくださいね!


ぜひご参考にしてみて下さい。