▼エアコンの位置、なぜ悩む?▼
快適な住空間にするためには、エアコンをどこに設置するのが良いのでしょうか。
エアコンの配置を決めてから間取りを決めていく人はなかなかいません。なので、おそらく間取り終盤戦に悩むことになりますよね。
そのタイミングでは、ほとんどの場合ドアや窓の位置も大体決まっています。漠然と「ここがいいかな?」と思った位置にエアコンがつけられないという現象が起きてしまうことになります。
そして、どこにするのがいいのかを決めるためにいろいろと悩み始めることになります。
◇インターネットを見ても明確な答えが見つからない。
◇設計担当に聞いても、いまいち信ぴょう性に欠ける。
「どこに設置しても同じだよ」なんて声まで聞こえてくると、もう訳が分からなくなってしまいます。
今回はそんなお悩みを解決すべく、【エアコンの配置についての考え方】を伝授いたします。
考え方はいたってシンプルです。しっかりと学んでいってください。
▼答えは「消去法」にあり!▼
多くの人は「どこに設置するのが効率が良いのか」を考えます。
直接風の当たらない場所がいい、部屋全体に循環したほうがいい、窓の上はつけられないなどなど。調べれば調べるほど、たくさんの条件が出てきてしまい、一つ一つ確認していくことになります。
でも、結果でてきた答えは「理想的な場所はつけられない」というもの。なかなかうまくいくことはなく、悩みという壁にぶつかってしまうのです。
住宅というものは、そんなに大きな空間ではありません。そこに「窓」やら「ドア」やら「棚」やらといった、たくさんの要素が絡み合うため、理想の場所に都合よく設置できる場所ということはかなりの難関なのです。
理想の異性に出会うことが難しいように、エアコンの配置だってそうそううまくはいきません。
そこでこんな方法を提案してみます。多くの間取りを見てきた私だからこそ見いだせた、逆転の発想です。
エアコンの配置は、一体どういう風に決めていくのが正解なのか。
それは、「どこが理想なのか」を考えていくのではなくではなく、
【どこに設置しない方が良いのか】を考えていくという「消去法」です。
簡単に言うと、エアコンの設置場所は「うまくいく方法」を模索するのではなく「失敗しずらい方法」を探していくということがうまくいくコツだということです。
▼7つのチェックポイントを消せ!▼
それでは、消去すべき『7つのチェックポイント』を解説します。
【避けたほうが良い7つのチェックポイント】
①すぐに壁にぶつかってしまう「短距離砲」になってしまう面
②下に向かって吹く温風が、タンスやソファなどにぶつかってしまう場所
③5m以内に室外機が置けない場所
④くつろぎの場所に向かって、風が直接当たる
⑤紙などの「軽い物」を使う場所に向かって吹いてしまう方向
⑥直線に進む風が、廊下などに抜けていく方向
⑦吹きたい方向が20度以上曲がっている
では一つずつ補足していきましょう。
①すぐに壁にぶつかってしまう「短距離砲」になってしまう面
エアコンからの風が吹いていく方向を追いかけたときに、すぐに壁があるとそこでぶつかり、滞留し始めます。本来ならもっと遠くまで進んだはずの風が、せき止められるということになりますので、避けた方が良いのはわかりますよね。
ポイントは「長い壁側」を消去してしまうということです。
②下に向かって吹く温風が、タンスやソファなどにぶつかってしまう場所
エアコンの基本性能として、「冷風は上に吹き、温風は下に吹く」というものがあります。これは、冷たい空気は重たく、暖かい空気は軽いという性質を利用しているものであり、どのエアコンも同じです。
上に吹き付けた冷風は特に遮られることはないでしょうが、下に向いて吹き付けた温風は、障害物があるとせき止められます。障害物というのは、ソファや棚、タンスや壁といったものの事です。低くても障害物になってしまうということに注意しなければいけません。
ポイントは「家具や腰壁のある場所」は消去するということです。
③5m以内に室外機が置けない場所
エアコンは室内機と室外機が1セットで機能します。そこの間は「冷媒ガス」といわれるものが配管を通して行き来しており、このおかげて冷やすことも温めることもできるということ。この室外機と室内機の距離が遠くなると、エアコンの利きが悪くなってしまいます。
この距離の推奨値というのは「4~5m」といわれております。それを超えると、危機が悪くなり始めるという距離なのです。絶対にダメということではありませんが。
室外機は、外がどうなっているのかという条件によって「置けない」という場面がありますので、そうなってしまう場所は遠くまで配管せざるを得なくなり、結果としてランニングコストがかかります。
ポイントとしては「外部から5m以上、または室外機を置けない壁側」を消去するということです。
④くつろぎの場所に向かって、風が直接当たる
これは補足はいらないですよね。単純にソファやダイニングテーブルのような、長く滞在する場所を避けるということです。
キッチンもそのくくりに入りますので、健康のためにも避けておいた方が良いでしょう。
⑤紙などの「軽い物」を使う場所に向かって吹いてしまう方向
エアコンから吹き出すものは、もちろん風です。例えば本を読んでいるときに、エアコンの風が当たってしまい、勝手にめくれてイライラしたような経験はありませんか?それをなくす方が良いということです。
なので、部屋にそういう場所が必ずあるということではありませんが、あれば消去するということです。
⑥直線に進む風が、廊下などに抜けていく方向
①では、遠くに風を運んだ方が効率が良いと書きました。ですが、廊下のような「空調があまり必要のない場所」を意図せずに空調するのはもったいないということになります。
他の部屋を冷やしたりして、結果そこも冷えてしまったのであれば良いのですが、廊下をメインで冷やすという結果になるのはもったいないエネルギーとなります。方向的にそうなるのであれば、消去するほうが良いということになります。
⑦吹きたい方向が20度以上曲がっている
ちょっと表現が難しかったのでわかりずらかったかもしれません。。
エアコンは、フィンと呼ばれる風向きを調整する羽のようなものがついていますよね。上下方向にも代えられるのですが、当然左右方向にも調整できます。
ただ、このフィンは完全なものではないので、すべての風が方向を変えるわけではありません。それどころか、まっすぐ吹き付けている風を、無理やり変えているのですから、風力も弱くなってしまいます。
そのエネルギーロスを少なくするためにも、本来は直進させるのが理想ですが、窓などで設置できない場合もあるため、調整するのであればあ20度の範囲にすべきなのです。
そういう意味で、吹きたい場所の中心に対して、大きく端に片寄ってしまう場所は消去しておきましょうということです。
以上が7項目の補足説明でした。理解できたでしょうか。
▼最後に活用方法▼
それでは、この7項目の活用方法を簡単に書いておきます。
まずはエアコンを設置する予定の部屋で、この7つの項目に当てはまる場所にマーキングをしてみましょう。
そして、色がつかなかった場所にエアコンを設置するということです。ただそれだけなのです。
当てはまらない場所があったなら、その中であれば「どこでも失敗しづらい」という場所ということになります。
もちろん、環境によっていろんな条件はありますので、この消去7つのチェックポイントは「絶対にやってはいけない」というものではなく、あくまで「避けたほうが良い」というレベルです。
なので、もしも「色のつかない場所がなかった!」というのであれば、より当てはまる項目の少ない場所が良いということです。
逆にいうと、この項目に当てはまる場所が、多ければ多いほどやめておいた方が良いということになります。
この方法を使って、少しでも効率の良いエアコン設置場所を選んでみてくださいね。
そして、快適な住空間になることを、心から応援しています!