◇ウチはよくブレーカーが落ちる!
ドライヤーと炊飯器。ホットプレートと電子レンジ。など
同時に使うと必ずブレーカーが落ちる。
家電製品の中で、そんな組み合わせってありませんか?
「うちは電気容量が少ないからしょうがない」
そう思ってませんか?
実は、そんなことないかもしれません!
今回は、電気を落ちにくくさせるための方法を伝授しましょう。
◇もしかして使い過ぎ?
多くの場合、電気を使いすぎて容量がオーバーしていると思ってしまいがちですが、おそらくそうではありません。「片負荷」と言われる状態になっていることがほとんどなのです。
「片負荷」とは何かを簡単に言うと「使い方が片寄っている」ということです。
ブレーカーが落ちてしまったとき、復旧する時に開ける箱がありますよね。あれば「分電盤」とか「配電盤」と呼ばれるもので、電柱から引き込んできた大容量の電気を、小分けにして各所に分配するための箱なのです。
その中に小さな「ブレーカー」と呼ばれるものがたくさんあり、どれを戻せばいいのか迷った経験、ありませんか?
ここから先を説明するうえで、わかっておいてほしい用語を少しだけ勉強しましょう。
それは、ワット(W)・アンペア(A)・ボルト(V)の3つです。ちなみに電気を使用するうえでの契約は、基本的にアンペア(A)で行われます。
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ワット(W)とは、アンペア(A)とボルト(V)の掛けることで算出され、日本のコンセントは、基本的に100Vの電圧がかかっております。なので、700Wの電子レンジを使うためのアンペア(A)は・・・
700(W)÷100(V)=7(A)
ということになるわけです。簡単に言うと、ワット数から0を二つとるとアンペアになる、と覚えておいていいと思います。
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例えば、契約電力が30A(アンペア)のご家庭があったとしましょう。
つまりこれは「3000Wまでは使っても大丈夫だよ」という契約です。
これが頭にインプットされた結果、「ブレーカーが落ちるってことは、3000W以上使っている」と思ってしまいがちですが、多くの場合そうではありません。
「分電盤」「配電盤」といわれる、たくさんのブレーカーが詰まっている箱。見たことありますか?
その中にあるブレーカーの数だけ「電気回路」が存在しています。つまり電柱からきた30Aの電気を、10Aずつ3つに分けて設置されている、というようなものなのです。
◇リビング周りのコンセント「回路」
◇2階の照明器具用「回路」
◇ボイラーなどの機器用「回路」など
小ブレーカー1つあたり10Aだったとすれば、それは1000Wまでしか使えないという意味であり、それ以上使うとブレーカーが落ちます。
仮に契約電力が30Aで3000Wまで使えたとしても、同じブレーカーの回路から1200Wを使ってしまえば、ブレーカーは落ちてしまうということ。
これがつまり「片負荷」と呼ばれる現象です。キチンと振り分ければまだまだ使える場合が多いということになるわけです。
◇片負荷を回避する方法
では「片負荷」を防いで、より快適に生活するための、設計時点での回避方法を教えます。
そんなに難しい方法ではありません。たった4つのステップで解決してしまいましょう。
①使う電化製品の中で、容量の大きいものをピックアップする
住んでいる中で、電気容量の大きいものはある程度決まっています。
ホットプレート、炊飯器、電子レンジ、ドライヤーなど。
インターネット検索で「ブレーカーが落ちる家電」と調べてみると一覧が出てきます。その中で該当するものを、ピックアップしてください。
②その中で、時間帯的に同時に使用するものを選ぶ
1つ使っただけで片負荷になることはありません。
なので、例えば「寝る前」や「朝食時」など、時間帯的に重なって使用する可能性のあるものを組み合わせます。
あくまで可能性の中で考えてください。
③重なったものの使う場所を、図面にマーク
時間が重なりそうだと選んだものが、使われる場所にコンセントを配置していますよね?
ではそのコンセントに、印をしておきましょう。
2セットあるのであれば、セットごとに色分けしましょう。
④設計担当に伝える
最後に、設計担当者に図面を渡して、こう伝えるのです。
「コンセント回路を別にしたいのですが」
これでOKです。
ほとんどの場合、これで片負荷は解決します。
◇何より、しっかり検討することが重要
これまで書いてきたことをまとめると、こうなります。
つまり、住んでいる状況をしっかり想像して、設計に伝え、備える。
キチンと振り分ければ、本来そう簡単に電気は落ちるものではありません。重要なのはどこで何を使うのかがしっかりと見えていること。
間取り設計というのは、絵の中で「将来の問題」を解決できるツールだと理解して下さい。生活の中で不便に感じることは、全て解決することができる世の中です。
要はしっかりと検討すること。そしてイメージし、想定すること。
これができれば、良い間取りになるわけなのです。
ぜひご参考にしてみてください。