◇屋外失敗の原因
間取りの検討に精を出し、住み心地の良い家にする。実際に生活する空間ですから、重要視するのは当たり前の話しではあります。
しかし、そこに全精力を注ぎ込んだ結果・・・
【屋外をちゃんと検討してなかった】
この失敗事例は多いのです。
理由としては…
・お金が少し足りないから、屋外の計画はとりあえず後に。
・家の中がちゃんとしていれば外は特に気にしない、普通でいい。
・間取り決まってから屋外考えるから大丈夫。
まずは間取り検討して、屋外を後回しにする方は多いでしょう。しかし、いざ建ててみると、 駐車スペースがギリギリだったり、庭がイマイチだったという結果に。
外構にこだわらなくても、不便なく生活できていれば特別に問題はないでしょう。ですが、日常生活に支障をきたすようだと、日に日にストレスは増しますし、せっかくの素敵な間取りが生かされない結果になるかもしれません。
例えば、駐車スペースをポーチ横に考えていたけど、実際は狭すぎたので、庭をつぶす羽目になった。
例えば、勝手口を作ったけど、建物の位置が敷地ギリギリで勝手口から歩くスペースが狭すぎて使いづらかった。
間取りと一緒で、カーポートやデッキの設置、植栽をしたりと、何か物があると狭くなるのは当然ですよね。
屋外空間も家と同様、しっかり計画を立てないと快適な空間とはならないのです。
◇なぜ失敗するのか
ではなぜこんな現象が起きてしまうのでしょうか。
本気で計画したとしても、実際に使いやすくすることは難しいものです。それに加えて、外部計画を甘く見たのだから、当然といえば当然の結果です。
◉敷地の中央に建物を寄せすぎて、全部の広さが中途半端になった。
◉片側に寄せすぎて、お隣とのプライバシーが保てない。
◉図面ではきちんと駐車できていた車が、実際には駐車できない。
この現象から見ると、「なんとかなる」と思ってしまった感が見受けられます。実は外構も、甘く見てはいけないということなのです。
設計を進めるにあたって、本来は「屋外計画」から入るのが定石。それには理由があります。
①法律違反をしないかのチェックをするため
②敷地を有効に使うため
外構の計画は後回しにしないことです。せっかくの敷地は家を建てて終わるだけでは非常に勿体ないです。楽しめるのは家の中だけではありません。
敷地を有効活用するということは、自然を感じることが出来たり、その自然に手間をかけることで楽しみが生まれます。家族、友人と輪を囲む憩いのスペースにもなります。
そして生活環境の向上にもなりえます。より生活しやすく、動線が楽になるように、屋外計画をうまく活用することとは、全ての間取りに繋がる重要なものなのです。
◇屋外計画するときのポイント
基本的に、外部は2階建てにはできませんよね。なので、必要とされるスペースというのは、面積的に大きくなります。
特に駐車スペースについては、図面上に車がただ描ければ良い、というわけではありません。所定の場所まで車が入らなければダメなのです。
バックで駐車するのか、家と垂直・平行に駐車するのかなども考えてみましょう。車の軌跡をたどる必要があります。
まず大切なのは、最小限必要なスペースをピックアップすることです。
例えば、駐車スペース。物置。南向きの花壇。ガスボンベ置き場。
お隣との距離、洗濯物干しの位置、ゴミ集積場、自転車・バイクなどのスペースも。
現代はプライベート空間、プライバシーを守ることも重要と考えられている方が多いので、目隠し用の柵や植栽も考慮する必要があるかもしれません。
それらを選び出して、敷地に配置してみるのが優先です。その上で、建物の大きさの最大サイズを把握するのです。つまり「どのくらいの大きさの建物を建てられるのか」という状況を把握するということです。
この順番にすることで得られるメリットは、単純に屋外の計画がうまくいくというだけではありません。どちらからアプローチし、どちらから日が射しやすくなり、どちらの景観が良いのかということが、自然とわかってきます。
要するに、これを計画する段階で、すでに間取りの概略が見えてくるということにもなるのです。
間取り優先で考え、最後に屋外を検討すると、万が一初めからやり直さなければいけなくなることすらあります。
そんな時間ロス、モヤモヤ、下がるテンション、誰も経験したくはないですよね。
◇まとめ
住宅の設計というのは『大きい計画から詳細へ』が大原則です。失敗しない間取りにするために、この基本は絶対に守るべきルールです。屋外計画は、最初に立てることで失敗は格段に減ります。
外部計画を甘く見ないこと。屋外における必要スペースを確保すること。検討項目をピックアップしていき、自分たちらしいものを作りましょう。
建物の間取り計画はワクワクしますが、屋外の空間づくりもなかなかのワクワクもの。外構のデザイン・工事を専門としている業者も数多くあります。
建物は知識は強いけど、外構に関しては微妙というハウスメーカーもいますので、専門業者に依頼するのも方法の一つと言えますね。
こだわっている方の庭やエクステリアなどはキレイに手入れされているのでけっこう目に付きやすいんです。そこからヒントを得るのも良いかもしれません。屋内からのアプローチがスムーズである、などの使い勝手もプラスして考えていきましょう。
後から失敗することがないように、屋外計画はしっかりと進めていきたいところです。建物だけじゃなく、敷地全体が自分らしく過ごせる空間なのだということを、決して忘れないでくださいね。