◇バリアフリーの設計
バリアフリーで設計している家も少なくありません。
段差をなくしてみたり、各所に手すりを付けてみたり。
しして車いすの方が、自分の力で登ったり降りたりできるスロープもその設計の一つではないでしょうか。
将来を見越したり、現在使用している方がいたりする際の設計では、重要なトコロですね。
さて、今回はスロープについてお話していきます。
◇バリアフリー用スロープの角度
このバリアフリー用のスロープですが、角度はどのくらいが妥当なのでしょうか。
健常者が上り下りするスロープであれば、多少は急こう配でも大丈夫でしょう。
しかし、車いすとなると話は別です。
何せ腕だけの力で進まなければならないのですから。
「バリアフリー基準」というものがあり、公共施設などはこれに従って作られています。
それによると、、、
屋内のスロープは1/12のこう配とすること
屋外のスロープは1/15のこう配とすること
となっています。
・・・ピンときませんね?
ではもう少し説明します。
1/12とは、距離に対する高さの比率です。
・・・ピンときませんね?
もう少し詳しく説明します。
距離に対する、高さの比率ということですから、つまりこういうことです。
「1.2m進んだら10cm上がる」という坂道だということです。
ピンときましたか?
同じ考えで行くと、1/15の場合は、「1.5m進んだら10cm上がる」ということ。
つまり屋外の方が、内部に比べて緩やかな坂道だという事がわかります。
外部なので、雨で濡れた時のことを考慮すると、緩やかにしておくべきだということなのでしょう。
◇スロープは思った以上に面積が必要
この規定をあらかじめ知っておく必要があります。
なぜなら、スロープを設置しようとすると、思った以上に広い面積が必要になるからです。
少し具体例を出します。
外部の土地よりも、玄関の床の方が30cm高い計画だったとします。
すると外部に設置するスロープはどのくらいの長さになるのかというと。
30cmの15倍。つまり4.5mもの長さを必要とします。
幅が0.9mのスロープだったとすると、畳3帖分のスペースが直線で必要となります。
正面玄関側に駐車場を設置したとすると、車の後ろの方にやっとスロープの入り口がある状態になります。
これ、結構使いづらいと思いませんか?
スロープに上がるために、ぐるっと回りこまなければいけなかったりするのです。
設計で一番最初に行うのは、外部の配置設計です。
実は、この段階でこの考えがなかったとするとどうなるか。
「やっぱりスロープがほしい」となった時にちょちょいと足せるものではないということです。
とても無理な計画になってしまいかねません。
バリアフリーで計画の方へ。
スロープを採用するのであれば、あらかじめ検討しておく必要がありますので、ご注意ください。