ウォークインクローゼットはご存知ですか？計画に入っていますか？
英語表記で「Walk In CLoset」であることから、設計図に「WIC」や「WCL」などと書かれている部屋のことです。
通常のクローゼットと違い、棚のようになっているということではなく、使う人間がそのまま入っていけることから、「ウォークイン」と名づけられている収納です。
これ、なんとなくオシャレなイメージはありませんか？新築にしたらウォークインクローゼットは絶対欲しい！なんて人も少なくないはずです。大容量の収納に魅力を感じているのでしょうか。
ただ、勘違いしている人が非常に多いのが事実です。
なぜならこのウォークインクローゼット、「収納効率が非常に悪い」からです。
今回は、それについて解説いたします。
◇普通のクローゼットの場合
まずは一般的なクローゼットを説明して見ます。
通常のクローゼットの場合、ドアを開けると端から端まで棚があるか、もしくは全てがオープンになっていますよね。折れ戸などにしてドアを開ける際の面積を少なくするなどの工夫をするほど、非常に収納効率も面積効率も良い空間です。
なぜなら、その収納部屋の面積に対して、100%全てに物を収納することが可能です。ミチミチに詰め込むことも可能であり、部屋というよりは「大きな収納」という感じです。そもそも埋め込まれた棚というイメージであり、ドアぎりぎりまで収納できるのはおわかりですね。
そして間取りで余った、小さなスペースの活用もできるのに対して、その収納効果はバツグン。必要な場所に必要な量を点在させるのが、非常に良いスペース活用術といえますね。
◇ウォークインクローゼットの場合
では、これに対してウォークインクローゼットの場合はどうでしょうか。
確かに、大容量が収納できそうな「まとまったスペース」は存在しますね。あたかもたくさん収納できそうなイメージはあります。ですが、よく考えて見てください。
その収納を使用するために、必ず「人」が入らないといけないですよね？その部屋に対して、人が入って行くための通路になる部分は収納が出来ない、ということはお分かりでしょうか。
まるで全てが収納できそうな気がしますが、「人」用のスペースが別に必要にな、結果として非常に効率が悪く、もったいないスペースが必要ということです。
部屋の内部レイアウトにもよりますが、収納効率は40～70%に落ちてしまいます。場合によっては、１００の面積に対して半分程度しか収納が出来ないというとです。普通のクローゼットとは明らかに違います。
◇WICの良さは「収納力」じゃない！
通常のクローゼットに対して、ウォークインクローゼットがいかに非効率なのかはご理解いただけたでしょうか。もしかしたら、この非効率な感じが「面積に余裕のある家」というイメージになり、結果オシャレというイメージがついたのかもしれません。
それについては止めはしませんが、予算や敷地に限りがあり、コンパクトに設計したいのであれば話は別です。コンパクト住宅にウォークインクローゼットは似合いません。極力控えるべきです。
ただし、ウォークインクローゼットはそんなに良くないものなのか？といわれればそんなことはありません。求めるものは「収納力」ではないということに気付いていただきたいのです。
ウォークインクローゼットの良いところ。それは「可変性」です。
空間が広いため、タンスや棚の配列を変幻自在に変えることが可能です。
特に小さいお子様のいるような家庭では、収納するものがどんどんと変わり、またその量も変化します。子供が巣立って行くと、また変化しますよね。その変化に対応して、収納量をコントロールできるとすれば、それは通常のクローゼットでは無理な話です。大きな空間があって初めて、変えることが出来るようになるのですから。
量に特化した収納にも、大きさに特化した収納にも変えられる。不要になれば書斎に変形するだって出来ます。そういう見方をすれば、ウォークインクローゼットをもっと有効に採用できそうな気がしませんか？
まとめますが、ウォークインクローゼットの良さは収納力にあらず。
もし小さな面積で住宅を計画するのであれば、もう一度しっかり検討するべきです。面積を節約するためには、ウォークインクローゼットを配置するのではなく、小さなクローゼットを多く配置した方が効率が良いのです。
面積に余裕がある場合には、将来に備えてウォークインクローゼットを採用するのは大賛成です。
今回は、そんな「WIC」の考え方について解説いたしました。
ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。