▼忘れ去られたインターホン▼
間取りを検討して行くうえで、すっぽりと抜け落ちてしまうことが多いものの1つに「インターホン」があります。住む上で必要なものなのに、何故か忘れ去られる存在。
きっとインターホンよりも重要視してしまうことや、間取り検討で悩んでしまうものが一つや二つではないからですよね。そのお気持ちわかります。
段々間取りも細かいところまでまとまってきて、出来立てのマイホームに住んでいる想像を膨らませたときです。・・・あれ?何か足りない。
『ところで、インターホンってどこで応答するんだっけ?』
あ!・・・と忘れていたことに気付くのです。
<p玄関ドアを検討する際に、外部にあるポストとインターホンはきちんと計画することが多いのですが、なぜか室内側については「後回し」になってしまうことが多いのです。
最終最後になり、あわてて設置場所を探す。結果として非常に使いづらい場所になってしまうなんてこともあります。使用頻度は意外と多く、来客や帰宅する家族のためにもなくてはならない存在なのですが。
今回は、そんなことにならないように、インターホンの設置箇所の考え方を解説してみます。
▼どこに設置すべきなのか▼
まずは、「誰が」応対することが多いのかということを考えます。
それは家にいる時間が1番多い人。特に昼間の来客者が多い時間帯に、誰が応対することが多いのかを考えるとわかりますよね。その人が、昼間に「どこに」いることが多いのか、ということを想定するのです。
とても単純な話ですが、その近くに設置するのが良いということになります。インターホンが鳴ってから、応対するまでの動作が少なくて済むからです。
別にリビングやキッチンの近くに、なんていうルールはありません。
しかし、インターホンから玄関までの距離を気にして、なるべく玄関の近くに設置しようと考える人も多くいますが、基本的にはそれは気にしなくて良いです。
なぜなら、インターホンを鳴らしてから、なんのリアクションもない状態で待つ人の気持ちになって見るとわかると思います。
例えばインターホンから離れた部屋に居たとしましょう。「ピンポーン!」とチャイム音が聞こえて、「誰かしら?」と腰を上げ、インターホンに向かって歩いていく。それ、応答するまでに時間がかかりませんか?
逆の視点でみるとわかります。早い段階で「ちょっと待ってくださいね!」と言われるのと言われないのでは、話が全く違ってくるのです。
新入社員のころ、電話は鳴ったら早く出るように!と教えられましたよね?考え方はそれと同じです。早期応対が失礼の少ない行動と言えます。
待たせてしまうなら「少しお待ちください。」と伝えれば相手も理解ができますが、チャイムを鳴らしても一向に反応がないと、不在にしていると解釈して帰ってしまうかもしれません。
そのような考え方から、日中に一番滞在時間の多い場所に設置することが、ベストかと言えるわけです。
▼多様化するインターホンをご紹介▼
そもそもインターホンを取り付ける目的は、来客者と会話し確認ができるためであり、防犯目的という点からも、ほとんどのご家庭に付いています。壁をノックするのはトイレか社長室くらいでしょうか?
今のインターホンはかなり進化してきていますので、いくつか事例をご紹介しておきます。
・他局タイプ
チャイムのなり先は1箇所だけではなく、家の中では5箇所ほど設置対応可能なものもあります。
また部屋間の内線通話が可能なものまであったりします。もはや家族が住むマイホームの域を超えているタイプのものもありますが、自宅にオフィスを持つ方や、二世帯、三世帯住宅のお家では活躍しそうですね。
・ワイヤレス
スマートフォンと連動させれば、外出先でもモニターに映る映像を見ながら来訪者の応対ができます。
例えば配送業者が訪問してきたときにも応対をすることができますので、配送業者の悩みの種である「ご不在連絡票」の投函が減りそうですね。
・セキュリティ強化
防犯の目的もそうですが、大切なご自宅を見守るシステムもが導入されたものもあります。
火災やガス漏れなどを感知して警報してくれたり、特に高齢者向けのトイレやバスコールの非常ボタンと連動させた便利なものもあります。
まだまだ多機能なインターホンはたくさんありますので、必要と思われる機能を見極めて選択してみてください。便利なものも使いこなせなければ宝の持ち腐れで、意味を成さなくなります。
住んでいる家族を成長とともに、イメージすることが大切と言えます。
▼設置ができるかどうか。その注意点▼
場所をある程度選定したら、設置できる壁があるのかないのかを検討します。
この際、特に気にして欲しいのは「引き戸」です。
引き戸は扉がスライドするタイプのため、当然その壁にはつけることができないのはわかりますよね。そしてもうひとつ、その反対側の壁にも設置できません。
それは、戸をスライドさせるために壁を薄く作る必要があるために、インターホンを設置するための配線が、壁の中を通らないということになるからです。
結果としてインターホンを設置できる壁がなくなり、欲しい場所からどんどんと遠ざかって使いづらくなって行くということになるわけです。
まずは、誰が応対するのか。そして、どこが良いのかを考えましょう。
次に、そこには設置できるのか。設置するためにはどうしたら良いのかを検討するという流れがセオリーです。
意外と使いづらくなってしまう「インターホンの位置」について、甘く見てはいけませんよ!
ご参考にしていただければ幸いです。