◇漆喰は古い歴史がある
漆喰ってご存知ですか?
「しっくい」と言って、昔々からある建築資材です。日本ではお城によく使われていますし、最古は縄文時代から使われていました。海外でも神話の時代から接着剤として使用されていたそうです。
先日ご依頼者様が、「漆喰は標準仕様なんです」と言ってたことに驚きました。
なぜなら今は高価なもので、左官屋さんの中でも高等技術を持った人しかできない仕上げだからです。近年注目を浴びているこの漆喰。画像を見れば「あ~これ!」的な感じの方も多いでしょう。
味があり、デザイン性もある。時間の経過とともに風合いも出てくる数少ない建材の一つです。
しかし、デザインや見た目などだけで採用されるべきではないと考えます。決して安いものではありませんから、少しでも情報を取り入れていただきたいですね。
漆喰の原料は?
漆喰というのは、消石灰にノリを加えて練ったもの。ちなみにサンゴの化石をすり潰したものが消石灰です。真っ白く平らな仕上がりが美しく、お城の壁に採用されています。
昔は消石灰にワラや麻スサと、海藻から作った糊を混ぜて使っていました。そのイメージからなのか、自然由来ですので天然志向の方には人気です。
でもその成分というのは昔の話。今は漆喰のデメリットを解消するために、さまざまな化学成分のものが使用されています。接着効果を高めるためにアクリル樹脂などを混合したり、強度や作業性を上げるためワラや麻ではなく、化学繊維やガラス繊維を混ぜていたりもします。
これは全てにおいてではないですが、何をもって自然由来とするのかは結局はそれぞれの判断によるのかもしれません。シックハウスなどの基準はクリアしているものがほとんどですので、その点は大丈夫ですが。
では、次に漆喰のメリットとデメリットをご説明しましょう。
◆漆喰のメリット
◎見た目がきれい
どれをとっても同じ仕上がりにはなりませんのでオンリーワンなのです。塗り方・コテ使いで味が丸っきり変わるので、凸凹の影など非常に面白さがあります。
◎燃えずらい
◎アレルギーが少ない
喘息やアレルギー症状のリスクを減らすと言われています。シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着・分解する性能がある、とされているのもあって特に小さなお子さんがいるご家庭は注目しているようです。
◎脱臭効果がある
タバコ臭やペットのにおい、特にアンモニア臭には効果があります。
ちなみに「調湿効果」はほぼありません。湿度コントロールしてくれる効果があると言われていますが、これは土壁だった時代の話。その時代は下地の土壁も含めた壁全体で調湿していました。
現代は、ほぼ石膏ボードが下地のため、その上に漆喰を施しても効果は期待できません。吸湿も加湿もほとんどしませんので、ご注意ください。
現在は貝殻粉末などを使った、調湿性の高いものも出ておりますので、効果を期待するのであれば、調べてみると良いかもしれません。「見た目が好きな人用」と思ってくれれば良いのではないでしょうか。
◆漆喰のデメリット
◎汚れが落ちずらい
汚れがついてしまった場合、その凹凸のせいもあってなかなか溝までキレイにするのは大変です。簡単なのはカッターなどで削ることですが、その部分だけ目立たないように仕上げるのもけっこう気を使いますよね。
◎換気が悪いとカビが発生しやすい
強アルカリとうたわれていますが、時とともに中性化します。湿気があるところは空気中も滅菌しない限り、カビは発生しやすくなります。
◎職人の技術で見た目が変わる
高等技術が必要だとお話ししましたが、プロの中でも経験と技術を持っている方でないと、良い仕上がりにはなりません。よく「DIYで…」なんていう話もありますが、そう簡単には施工できないと思います。ご自身でやるなら、漆喰調のクロスもありますのでそちらも検討してみてくださいね。
子供が落書きをしたり、ジュースをこぼしたりすると、汚れが落ちずらいのが難点。また微細な凹凸が多いため、ビニルクロスなどよりもカビの住処になりやすいですね。
あとは昔ながらの技術・材料ですので、美観が職人の腕に委ねられるのは覚悟して下さい。これは運次第ですので・・・。
◇まとめ
調べだしたら砂漆喰など種類も多いし、ぬりかべ(塗り壁)として見てみると、珪藻土という選択もでてきます。珪藻土は、今や布製バスマット要らずでブームですよね。
珪藻土は漆喰に比べると、吸放湿性能は高いといわれています。その性能を活かして砂糖や塩などが固くなるのを防ぐ商品もたくさんありますね。漆喰より安価だし、施工しやすくなっていてます。
もちろん珪藻土にもメリット・デメリットがありますので採用の際はご注意を。
実際、漆喰調のクロスを採用するのもオススメです。こちらは塗り替えが必要ありませんし、お子さんがいて汚れるのが心配だという方も簡単にキレイに保てます。やっぱり資材費も施工費も安く抑えれます。
本物志向の方には難しいですが、単純な見た目を考えるのであれば、雰囲気を楽しめる点では良いですね。
漆喰は、現在では高価なものですが、メリットが薄いものとなっています。というより技術の進歩により、ほかの材料が良くなってきているということです。
見た目や風合いが好きなのであれば使用してみるのも良いかもしれませんね。
ぜひご参考にしてみてください。