◆階段幅は広い方がよい?
「階段幅は広くした方が良いのでしょうか。」
こんな相談がありました。
この相談(質問)の意図は何でしょうか。
例えば、こだわりの階段なのでおしゃれに見せたい!ということであれば、正直広くするのもありだと思います。
逆に、金額面で悩んでいるのであれば、わざわざ広くする必要はないと思います。
このように、子のみの問題も含まれますし、何に焦点を当てるかで回答も違ってきます。
なので、今回はこの相談の方の意図を私なりにくみとり、『階段を広くすることに、どんなメリットデメリットがあるのか』についてお話します。
◆メリット
階段幅が広いことのメリットとしては、人がすれちがうことができるというものがあります。
さて、これはどの程度のメリットといえるのか一緒に考えていきましょう。
・・・と、その前に、皆さんはよくある階段幅がどれくらいか知っていますか?
ほとんどの場合、階段の幅は壁芯々寸法で91㎝(910㎜)です。
つまり、実際に階段の幅として使える寸法は78㎝(780㎜)程度が多いです。
そもそも、階段の寸法には建築基準法施行令の規定があり、階段の幅は75㎝(750㎜)以上と決められています。
それでは、この階段を1日でどのくらい上り下りするでしょうか。
・朝起きて階段を下りる
・着替えに上り、下りる
・帰宅後に着替えのため上って下りる
・寝るために上る
(・トイレのために上り下り)
ざっと数えると8回程度でしょうか。
大人の男性の肩幅の平均は約46㎝なので、ひとりで上り下りする分には問題ないのです。
今回はこの上り下りの回数ではなく、このうち何度、階段を使用するタイミングが重なり、他の家族とすれ違わなければならないのかということが問題です。
さて、どのくらいでしょうか?多くて1日に1回というところではないでしょうか。
これを多いと感じるのか、少ないと感じるのかは個人差がありますが、私はさほど多くはないかなと思います。
つまり、「すれちがうことができる」というのは、さほど大きなメリットではないといえるでしょう。
◆デメリット
階段幅を広くすることのデメリットは「コストパフォーマンスが悪い」ということです。
階段の幅を広くするには、より多くの面積を使います。
また階段とは、またぐ階を繋げるための手段なので、2階分の空間であるため、失われる面積は2倍なのです。
前の段落でお話したように、2人ですれ違う頻度が少ないのであれば、ここにスペースやお金をかけるのはもったいないように感じます。
また、安全面を考慮して階段幅を広くしようとしているのであれば、階段幅ではなく踏み場の広さを大きくしたり、スペースを広げ傾斜を緩やかにしたりする方が有効と言えます。
ご参考にしていただければ、幸いです。