引き違い窓は吹き抜けには向かない、ホコリが入る窓。


▼吹き抜けと窓の関係▼

吹き抜けは解放感や明るさを求めて計画する方は非常に多いですよね。デザイン性もあり憧れる部分だったりします。そして吹き抜けの上部に窓を設けることにより、解放感や明るさなどといった役割を果たすことができます。

 

では、吹き抜けにはどのようなタイプの窓を設けるべきなのでしょうか?

 

部屋の状況別に窓の種類を変えてあげることによって、直接換気がうまくできたり、防犯性が上がったり、掃除のしやすさというものも変わってきます。

 

窓選びは意外と重要なものなんです。

 

昔に比べて、窓というものの性能は格段に向上してきました。それは、種別問わずにどんどんと良いものが開発されてきております。

 

デザインが良いものは、性能がいまいち。

 

性能の良いものは、デザインがそこそこ。

 

そんな時代もありましたが、今はデザインも性能もしっかりとそろっているものがたくさんあります。

 

今回は、その中でも注意をして採用しなければいけない「引き違い窓」の弱点について解説したいと思います。

 

そして、吹き抜けに採用する窓はどのようなものがいいのか、選び方を紹介したいと思います。

 

▼引き違い窓の弱点▼

そもそも引き違い窓というものは、かなり歴史の古い窓です。

 

簡単に説明すると、窓に対して中央で半分に2枚に分かれており、右も左もスライドして開閉することができる窓のことです。

 

窓には大きく2種類あり、周りにある窓枠と「面」で接するタイプと、「レール」で接するタイプです。

 

例えば引き違いではなく、「開き窓」の場合。

 

窓枠の外側に窓があり、4方向を窓の「面」で接するというのはイメージできるでしょうか。ちょうど、ビンの上に板をのっけたような状態で閉まります。

 

つまり、その接する部分にゴムなどの柔らかいものを挟み込むことで、しっかりとした気密性を保つことができます。

 

これに対して「引き違い窓」はどうでしょうか。

 

基本的にはレールの上に乗っかる形で車輪が存在しており、これによってスライドすることが可能です。この時、車輪がレールに接している部分は良いのですが、それ以外の部分は基本的にどこにも接していないのはわかるでしょうか。

 

動かなければいけない分、接していると擦れてしまうからです。ちょうど、ビンのキャップを少しだけ回したような状態で閉まることになり、微妙な隙間は残ってしまうのです。

 

もちろん、その隙間を最小限にするべく制作されてはいるのですが、外からテープで貼り付けない限り、ゼロにするということは基本的にはできません。

 

つまり、隙間風が入ってしまうということが、引き違い窓の弱点なのです。

 

とはいえ、普段生活していて「寒い」と感じるようなレベルではなく、ほんとにごくわずかな、手をかざしても感じられないレベルの隙間風です。なので、日常生活に支障はありません。

 

ですが、長時間経過すると弊害が出始めます。

 

なぜなら、隙間風は「ホコリ」を運んできてしまうからです。

 

リビングや子供部屋のような、いつも見ている窓、また触ることのできる窓なら問題は出ないと思います。ササッと清掃すれば解決するだけなのですから。

 

問題は「手の届きずらい箇所」に設置する引き違い窓です。

 

具体的には、【吹き抜け】や【階段の上のほうに設置する窓】といった場所のことです。

 

高頻度で清掃をするようなマメな方じゃない限り、多くて年2回、悪くて2~3年に1回の頻度になるかと思います。

 

要するに、そういう場所には「引き違い窓は似合わない」ということ。これをご理解いただきたいと考えます。

 

▼吹き抜けと相性の良い窓とは▼

手の届かないような高い位置に設置する窓は、基本的には嵌め殺し窓(FIX窓)。

 

開閉することができないタイプのものです。メリットとしては、形状に自由度があるので、例えば丸型などの形にすることができます。開閉しないので砂ぼこりなども入ることがないため、掃除も楽になるでしょう。

 

設置する方角によっては、多少なりとも開けることができないと空気がこもって循環が上手くいかなくなってしまうこともあります。

 

FIX窓は気密性に優れているというのも大きな特徴です。

 

今の住宅は高気密高断熱なのに、引き違い窓を多用することによって気密性が悪くなってしまいます。

 

性能が劣っては採用した意味がありません。

 

開口部を増やすということは気密性、遮音性が下がるということですので注意しましょう。

 

吹き抜けの窓を開閉するかもしれないと考えるのであれば、開き窓や滑り出し窓のような、「面」で接するタイプの窓をお勧めいたします。

 

内倒し窓や外倒し窓は特に省スペースに向いています。

 

人が入ることができるほど、倒すことができない仕様となっているため、防犯性にも優れています。

 

吹き抜けのような高いところ意外にも、浴室などのプライベートな空間、階段などの狭い空間に採用されやすいタイプです。

 

滑り出し窓は縦開きと横開きとタイプがありますが、

 

縦型はドアのように開閉することができるため、家と平行に流れている風をキャッチして家の中へ取り入れてくれるため、方角によっては換気が上手にできます。

 

横型は開けると庇のようになるため、雨の日に窓を開けても雨水が入りづらい形となっています。

 

窓の種類によって特徴はかなり違ってきますので、特に吹き抜けのような高所に取り付けるものは、窓それぞれの特徴をよく知って採用していただきたいと考えます。

 

ご参考にしていただければ幸いです。