小上がりの「最適な」高さの決め方!


◇リビングに小上がりを計画するのが人気!

最近ニーズが高まってきて、小上がりの和室を採用する家が年々増えてきているようです。そしてそれをリビングに接続して配置するというのが多いようです。

 

畳と木のぬくもりが融合した和のテイストが、日本人の心を落ち着かせてくれるのでしょう。祖父母と暮らす方や、子供に畳を感じてもらいたい等様々。用途はたくさんあります。

 

しかし高齢者と同居するときは注意が必要です。小上がりスペースは意外と場所を取るもの。 介護の際や車いすを考慮すると、コンパクトな住宅には正直不向きな部分もあります。通路が制限されてしまいかねないからです。

 

子育て世帯も、小さいお子さんにとって小上がりの段差が危険ではないか、考慮する必要がありますね。採用する際はしっかり検討していきましょう。

 

ところで、小上がりを計画するとき、高さはどのように決めますか?実は用途によってベストな高さは変わってくるのです。

 

今回は「小上がり」としての和室を考えてみましょう。

使い道毎に最適な高さを解説していきます。

 

◇小上がり和室と畳を知ろう

◆そもそも小上がりとは?

まず、小上がりとは何かというところから入ります。


「小上がり」というのは、通常の床よりも一段高くなっている部分のことを言います。段差をつけるのですが、低すぎるのは、逆に危険です。中途半端な段差は、つまづきやすいのです。段はそれなりの高さのほうが安全ということですね。

 

この小上がりを設ける理由としては、主に3つです。


①腰をかけて、ちょっとくつろげるスペースとして
②収納を増やしたくて
③寝たりして過ごす、通常の和室として

 

以前、和室の良さについて投稿しました。興味のある方はご覧ください。
新築に和室は必要か?その魅力を紹介 参照)を一度ご覧ください。


そこでは、和室を「さまざまな用途に変身できる万能な部屋である」と書きました。
その多用途な側面に、①~③の機能を付加するというとても効果の高い空間が、「小上がりの和室」なのです。

 

和室といえば畳の存在ですが、そもそも畳の良さって何なのかわからない方多いです。

畳は非常に高機能な優れもの。

・湿気を吸収してくれ、部屋が乾燥しているときは水分を放出し、湿度調節をしてくれます。

・フローリングなどとは違い、赤ちゃんがハイハイしやすい柔らかさで自然由来の安心・清潔素材です。

・絨毯などに比べ、ダニの発生が少なくすみます。

最近は高気密な住宅が多く高温・多湿になりがちですが、しっかり換気や除湿をすることでダニの生息を抑えられます。

 

畳の良さを兼ね備えた居心地の良い空間を作りたいですね。

◇小上がりの高さを決めよう

ではその小上がりの高さ、どのくらいが良いのでしょうか。
検証してみましょう。

腰をかけて、ちょっとくつろげるスペースとして・・・の場合
腰かけるという動作だけを考えると以下の計算式がよくつかわれます。
【身長 × 0.23 = 座る高さ】
165cmの身長の人であれば
165cm×0.23=38cm程度 の高さが快適とされています。
◆つまり38~40cm程度がよい高さだということになります。

収納を増やしたくて・・・の場合
収納を設けたいという意図ですが、どのようなものを想定しているのかによるので、一概に言えません。
なので逆に、小上がりの作りから計算をしてみることにしましょう。
上から、畳、板材、木材、隙間、収納という順番になります。
一般的な畳は60mmです。
その下の板材(合板)は12mmとします。
それを支える木材は、45mm+45mm=90mmは最低でも必要です。
隙間は10mmで良いでしょう。
収納を飛ばして、底板が24mm。
そして動くローラー部が15mmは必要でしょうか。
これらを合計すると
60+12+90+10+24+15=211mmとなります。
◆つまり収納したいものの厚みに、211mmを加えてあげると、小上がりの高さになります。
例えば、厚さ(高さ)が200mmのものを収納したければ、
200+211=411mmが小上がりの高さということになるのです。

寝たりして過ごす、通常の和室として・・・の場合
これは、①と同じ考えで良いと思いますので省略します。

そのほかに、上がりやすさという考えも必要です。
一般的な階段は高さが200mm程度ですので、300mmだとしても上がるのは少し大変だったりします。
また、車いすからの移乗をお考えであれば、400mm~450mmが妥当です。

ひと口に「小上がり」と言っても、その使い方によって高さ設定はバラバラです。
何をメインに考えているのかを想定して、選定するというのが重要になるということです。
ぜひご参考にしてみてください。