◇二種類の木造住宅
日本の木造住宅は、大きく2種類あります。
●在来工法
●ツーバイフォー工法
建ってしまえば一緒でしょ?とか、ツーバイフォーの方が早くできるとか、いろんな意見があると思います。 ホームメーカーや工務店には、このどちらかを得意としていることが多いですね。
「会社で選んだら、結果として自動的に工法が決まっていた」というパターンが多いと思いますが、実際のところ、どちらがいいのか気になりますよね。
今回は、その特徴を簡単に説明しましょう。
◇在来工法とは?
日本古来の工法で、相応の経験がないと工事ができない、技術を必要とするものです。
構造的な表現をすると「柱と梁で建物の全ての重さを負担する」というものになります。
つまり、壁や屋根・床は全てこの「柱と梁」にくっついているだけという構造です。
なので柱と梁さえ動かさなければ、内部の間仕切りなどは自由に変えることができます。
将来リビングとダイニング間の壁をとるなど、増改築しやすい工法です。
現場で全てを組み立てる為、基本的に時間がかかり、比較的高価になりがちです。職人さんの人数や技量にもよりますが、工期はだいたい4ヶ月~6ヶ月が目安でしょう。
今はプレカットと呼ばれる木材のおかげで、現場で組み立てる工法で時間短縮を図ることもできます。 在来工法はツーバイフォー工法に比べて、間取りの自由度が高いのが特徴です。
◇2×4(ツーバイフォー)工法とは?
海外から輸入してきた工法で、多少の知識があれば誰でもしっかりとしたものを作れるというもの。アメリカやカナダの約90%はツーバイフォー工法の住宅です。
在来工法とは違い、柱も梁もありません。
構造的には、壁と床を箱型に組むことで建物を支える構造ということになります。
住宅の中に、いくつかの大きさの箱がブロック分けして納まっているイメージですね。なので、一度決めた間仕切りを簡単に変えることができなくなります。
また窓の大きさなどにも制約がある為、大きな窓を造ったり、窓を連続して設置しようとしてもNGが出ることがあります。耐震性が下がってしまうからです。
そういう意味では、在来工法より間取りの自由度は低いといえます。
壁をパネル状に工場で組んできたものを現場に運んできて、サイコロのように組んでいく為、工期は短くなります。目安としては、完成までだいたい3ヶ月くらいですね。
そして材料は同じものを大量に使って組んでいくので比較的安価です。
このような構造のため、気密性・断熱性も高いです。高気密ということは、逆に言えばカビやダニの発生原因が増えるので結露対策は大切です。
◇耐震、耐久が優れているのは?
◆「耐震性」を比較すると
実際には、どちらのほうがいいとは、言い切れないですね。
「耐震性はツーバイフォーのほうがいい」と言われていますが、それは震災で倒壊した古い在来工法の家と比較しているからでしょう。ツーバイフォーだからといって、地震の被害が0になるわけではありません。
確かにツーバイは「面」で構成されているため、地震や風といった外部要因に耐性があるのは確か。ただ、在来も建材を斜めに入れる「筋交い」や、合板を打ち付け壁を補強する「耐力壁」で耐震性を上げています。
古い建物は耐震強度が低かったりしますし、そもそも基礎や地盤はどうなのかということも
かなり絡んでくるところです。地盤の強さや、しっかりとした基礎は建物の耐震性能を活かします。
◆「耐久性」を比較すると
では耐久性はどうでしょうか。これも、基本的にはどちらとも言えません。
材質としてみると、2×4材は「スプルス」や「パイン」といった成長のはやい樹木を採用しており、日本の一般的な樹種と同程度の耐久性を有します。ただし、ヒノキのような非常に耐久性の高いものに比べると、当然性能は劣ります。
そして、何年も長く住む家は、やはり人と同じでメンテナンスは重要です。工法の違いによってメンテナンス・リフォームは変わってきます。
マイホームが建った後、構造や土台が湿気やカビで傷んでしまったり、シロアリに食べられたり…。そんなこともないように大切にしていきたいですね。
結局は、耐震性・耐久性は工法だけでなく、そのようなメンテナンスをするかしないかという問題の方が、重要ポイントとなります。
◆まとめると…
在来工法・・・
→工期がかかって高価だけど、間取りが自由。
ツーバイフォー工法・・・
→工期が短く済んで安価だが、間取りが不自由になりがち。
まとめるとこんな感じです。もちろんこんなに簡単に説明できないものもありますが、今回はさらっとだけということで説明しました。
ぜひ、ご参考にしてくださいね。