◇吹抜けは後悔が意外と多い
吹抜けという空間は、なんとなく開放感があって良いという感じがします。
リビングを吹き抜けにしたら、広く感じていいよなぁ。
玄関を吹き抜けにしたら、おしゃれな感じになりそう。
夢は広がりますね。
ですが、ちょっと待ってください。
「吹抜け」というのは、実はとてもデメリットがとても多いと気付いているでしょうか。
そのデメリットについてご説明していきます。
①2階のレイアウトに影響しやすい
吹き抜けを作るということは、きっと間取りのメインに考えていることでしょう。
ということは、南向きを考えていませんか?
そうではなかったとしても、日当たりのことは考えているはず。
確かに日当たりがあれば開放感にもつながりやすいです。ですが、その日当たり、2階にはできません。
なぜなら吹き抜けは2階まで抜けているからこそ「吹き抜け」と矢ばれるわけですから。その日当たりの良い部屋をつくることができないということです。
吹き抜けを意識しすぎて、2階のレイアウトがうまくまとまらないという話はとてもよく聞きます。階段でさえ、間取りの設計にとっては難しいのに、それに加えて吹き抜けまで。間取りの迷子になる要素としては申し分ないわけです。
②清掃のしづらさ
天井が高いということは、当然手が届かないということ。開放感につられて吹き抜けを選択し、夢の天窓を付けた結果・・・。
窓はどうやって掃除しよう・・・。
エアコンのフィルターはどうやって交換しよう・・・。
あそこのクモの巣、どうやって取ろう・・・。
窓を拭くだけで、いちいち業者に依頼して数万円取られる、というのはよく聞く話。ながーい柄のモップでささっと拭く程度しかできません。照明器具のホコリもなかなか落とせません。
そういうメンテナンスも含めて考えないといけないのが「吹き抜け」だということです。
③1階がなかなか暖かくならない
空気は、温度が上がれば上がるほど軽くなり上にあがります。
逆に冷たくなればなるほど重くなり下に降ります。
冬場を想像してみてください。
吹抜けのある部屋で暖房を入れると、まずは高いところから順番に暖まります。逆に天窓があれば、そこからの冷気が下に落ちてきます。
"どんなに暖めても寒い"という失敗はとても多いのです。
一日中ずっと暖房を入れておくような、蓄熱暖房のオール電化や、床暖暖房を設置するのであれば採用しても問題ないとは思います。
④2階がなかなか冷えない
1階が暖まらないという理屈が理解できたのであれば、わかりますよね。空気は冷たくなればなるほど重くなり下に降ります。
ということは夏場、2階のホールはどんなにエアコンを全開で動かしたとしてもなかなか冷えないということになるわけです。その代わり2階のエアコンのおかげで1階は冷えるということになるわけですが。
吹き抜けのつながる、2階のホールは極力狭くするほうがよいというのは理解できるでしょうか。この傾向は、夏に暑くなる地域ほどはっきりとわかると思います。
天井が高いと空間は狭く見え、天井が低いと広く感じる。
この感覚、なかなか感じられないでしょうが、人間とはそういうものなのです。
確かに上方向に広くなった分、開放感は得られるかもしれません。ですが、きっとこうも思うはずです。
「あれ?思ったより広くない」
それは、天井高さが起こす錯覚。それも十分にわかったほうが良いですね。
天井高さと広さについては、別の記事でも説明していますので読んでみて下さい。
◇吹抜けをきちんと理解すること
吹き抜けというもののイメージはとても良いものです。それゆえ、憧れるという人も多いのは確かです。
ですが、メリットだけで採用してはいけません。きちんとデメリットも検討したうえで採用するようにしてください。
気持ちよさや新鮮な気持ちは、数ヶ月で薄れて行きます。それに対して、「不満」というやつは時間が経てば経つほどに大きく膨れ上がって行きます。
長い目で見たときに、どちらのほうがメリットが大きいのか。またデメリットが大きいのか。さまざまな観点からしっかりと検討することが絶対条件です。
何よりも、安易に考えないようにしましょうね。