◇意外に多い失敗「広すぎた」
◎部屋というのは「広い」にこしたことはない。
◎「広い」ということは、良いことだ。
そう思い込んでいる人が多いようですが、それは勘違いです。
「広すぎた」
アンケートの取り方によりますが、これは住宅での失敗談で必ず上位にランクインするのがこの失敗です。
部屋が狭いというのは確かに使い勝手が悪いし、散らかりやすい面もあります。
ですが逆に、広いということもデメリットになり得るということに気付きましょう。
分かりやすいように極端な例を出します。
○ 10帖の広さのトイレは本当に使いやすいですか?
○ 20帖の広さの寝室は心地よいですか?
○ 10mの長さのキッチンは使い勝手がいいですか?
物事には「適度」というものが必ず存在します。そしてそれは、使う本人にしかわかりえないもの。だからこそ、しっかりと考えることが必要なのです。
◆「広すぎた」事例を3つ紹介します。
◎例えば「トイレが広すぎた」
トイレの広さは、畳1帖分が基本。そこから肉付けをしていきます。
◇手洗いを設置したいから、もう少し広く。・・・◎
◇収納が必要だから、もう少し広く。・・・◎
◇スペースが余ったから、広いトイレに。・・・アウトです!
トイレが広いと、紙巻器まで遠くなります。落ち着かない空間になります。清掃する範囲が広がります。
必要な部分は問題ありませんが、根拠のない広さはアウトです。後悔の原因になります。
◎例えば「収納が広すぎた」
収納の基本は、今住んでいる家にしまってあるものを計測し、想定することです。
◇掃除機を収納したいから、少し大きめの収納を設けた・・・◎
◇服が好きで、ハンガースペースがたくさん必要だから収納を大きくした・・・◎
◇リビングが少し大きすぎるので、とりあえず収納にした・・・アウトです!
収納は、基本的に床面積全体の12~15%が基本です。「何かとしまうものが多いから」という理由で闇雲に増やしても意味がありません。それどころか、「一生取り出すことのない無駄なもの」まで収納できてしまうという最悪の面があります。本来なら少なめに設定し、入らないなら捨てながら整理した方が良いものなのです。
特に子供の小さいうちには多く必要でも、巣立った後には一気に不要なスペースとなります。子供の成長に伴って増減するものは、タンスなどの家具で対応するのがベターです。
◎例えば「寝室が広すぎた」
寝室は、どういう使い方をすすのかを決めるの基本。その上で最低限の広さで計画するのが正解です。
◇夫婦共通の趣味があるので、その分のスペースを広く取った・・・◎
◇ドレッサーを置きたいので、そのスペースを確保した・・・◎
◇大人なんだし、子供部屋よりも小さいのもどうかと思い広くした・・・アウトです!
寝室で長い時間を過ごすという家庭もあると思いますので何ともいえない部分も確かにあります。ですが、基本的に寝室は「単用途」の部屋です。
単用途とは、1つの目的に使われる専用の部屋。
これに対し複数用途とは、文字通り何種類かの用途がある多目的な部屋です。
リビングや子供部屋といった部屋は、たくさんの使い勝手があり、部屋としてはとても効率のいいものです。ですが、寝室は基本的に「寝る」という用途に特化した部屋です。その証拠に、ベッドが真ん中にドーンと陣取っていますよね。
専用の部屋というのは、原則として「もったいない」空間ということです。限られた面積を有効に使いたいのであれば、可能な限り複数用途の部屋を大きく取るほうがいいということがわかるでしょうか。
◆「ゆったり」=「広い」ではない
「ゆったりとした空間」という言葉を「広い空間」と考えている方がいれば、もう一度検討してみてください。そこには大きな間違いがある可能性があり、結果として間取りがうまく決まっていない原因はそこにあることもありえるということです。
しっかりと頭に入れていただきたいこと。
それは「ゆったりした空間」というのは、「適度」の中に存在するということです。
ご参考にして見てください。