◇風水とは?を少しだけ
住宅を計画する方の中で、風水にこだわる方は結構多いですね。
風水は別名「家相」と言って、昔々に中国から伝わり、その後日本で独自に発達したものです。
中でも有名なものは「三所に三備を設けない」と言ったもの。
最もポピュラーであるがゆえに、諸説あるようですが。
「三所」とは鬼門、裏鬼門、宅心の三ヶ所のこと。
「三備」とはトイレ、キッチン、玄関のことを指します。
つまり、鬼門、裏鬼門、宅心と言われる場所が必ず家にはあり、そこにトイレ、キッチン、玄関を配置すると良くない事が起こりますよというものです。
手相や血液型占い、名前の字画と同じでしょうが、建築は特に気にする業界ですね。
歴史が古く、どういうプロセスでできてきたのかは知る由もありません。
ですが多くの迷信の類と同じく、風水という考えが出来てきた理由を、今風にアレンジするとこうです。
「良くないことが起きている家を調べてみると、意外に共通点があったからまとめてみた」
◇間取りは大切です。
建築士のはしくれとして、思うことがあります。
風水の考えを間取りに取り入れて考えていくのは問題ありませんし、悪いことだとも言いません。
ですが、間取りを検討する上で風水を1番の条件にするというのは、いかがなものかと思います。
使いづらい間取りを、風水によって決められる。
それ、本当に後悔しませんか?
個人的には間取りの検討から逃げているとしか思えません。
風水が成り立っていった経過には、何か理由があるはずです。
「食べてすぐ横になるとウシになる」と同じで、その言われにはきっと理由があるはずです。
その理由を自分なりに解釈した上で、それでもこだわるなら問題ないでしょう。
ですが、理由もなく鵜呑みにしてませんか?
「先生がダメって言ったから」みたいなことになってませんか?
そしてそれは、現代でも通用する理由なのですか?
まず最初にやらなければいけないことは、2つ。
使いやすい間取りをちゃんと考えること。
決めた部屋に、理由を持つこと。
この2つだけなのです。
風水にこだわり過ぎて、間取りを捨てるというのは、やめて下さい。
絶対に後悔します。
もしくは何か問題が起きた時に、言い訳にします。
自分で、それを決めた理由がきちんとあるのであれば、それは風水よりも大切です。
なぜなら、風水はほかでもない「人間」が作り上げたものだから。
ここまでしっかりと生きてこれたんです。
その経験と頭脳を信じてあげて下さい。
間取り検討は、まずそこから始めてください。