◇見落としがちな「あれ」
間取りを検討してから完成させるまでの間で、検討項目からスッポリ抜け落ちてしまう項目というのはいくつかあります。そしてその項目は、後日きちんと失敗談として上がってくるものです。
今回はその項目の1つをご紹介します。
それは『におい』です。
体から発する、汗臭さや体臭などではありません。生活する上で発生するにおいです。生活臭とも言われています。例えばどんなものがあるのかというと・・・
◉焼肉などの煙
◉線香などの匂い
◉ペットの匂い
◉タバコの匂い
◉部屋干しの生臭さ
◉料理の匂い、特に魚の匂いなど
これらのにおいは、発生した場所には留まってくれません。扉が開いていて、空気が行き来できる場所のどこまでも漂っていきます。出来る事なら、この臭いを後には残したくないものですよね。
特に家焼肉などは何日も家に染みついてしまうもの。布製品はにおいをよく吸収しますから、消臭剤などを用いて消すことはできるでしょう。しかし、家じゅうの布製品の消臭や洗濯など、限りなくあります。さすがにそれ全てというのはムリな話です。
では根本的な部分で、家の中の作りはどうなっていますか?間取り検討段階であれば、それを防止する策は必ずあります。まずはにおいの行方を知ることから始めてみましょう。
例えば焼き魚を夕食に食べ、さあ寝よう!と思い、寝室に入るとなんだか魚くさい!となることも、間取りによってはそんな悩みをある程度払拭できることになります。
生活臭は自分では気付かないことがあります。家のにおいは意外と要注意な部分なんです。
◇「解放感」は要注意?
匂いに関して考えると、特に注意しなければならないキーワードは、実は「開放感」なんです。
開放感とは、文字通り開放的な作りになっていることで得られます。その代表格が「吹き抜け」です。ということは、視覚的にも開放されている空間だということ。ですが・・・
【もちろん「におい」も開放されています】
「バカと煙は高いところが好き」とは言ったもので、1階で焼肉をすると、煙は吹き抜けを通って2階に。それを良しとして初めて、開放感を選択するべきだということです。
開放的な間取りにしたくて、吹き抜けへの憧れを持つ方もいます。吹き抜けのメリットは当然開放感を得られる・日当たりによっては採光に優れていて明るい、などあります。ただしデメリットもあり、それを知って置く必要があります。
(吹き抜けに関してのブログも過去に掲載していますので、合わせてご覧くださいね。)
ざっくり言うと、吹き抜けのデメリットとは
◉清掃しづらい
◉においも暖かみも上昇してしまう
◉冷暖房効率の悪化
等々色々ありますが、1Fで発生したにおいも同じことです。空気と一緒に上に上がりますので、2Fの部屋に流れ込んでしまうのです。
特にリビング・ダイニングの吹き抜けにはよくある話しで、後悔する方も多いのが実情です。開放感があることだけで満足することなく、しっかりデメリットを把握した上で、吹き抜けの間取りを採用しましょうね。
◇間取り図に書き込んでみる
では、間取り検討時に何かできることはないのでしょうか。いえいえ、あります。間取り図を持ってしなければいけないことは何かというと。
【においを間取り図に落として見る】ということです。
STEP①
まずは煙やにおいの発生源を特定して、間取り図にマーキングをしましょう。
キッチンや玄関、ペットがいればトイレなどでしょうか。わかりやすくマーキングします。
STEP②
1階2階の間取り図を見比べながら、そのにおいはどこに充満するのかを色を付けて描いてみます。
こうすると、においが視覚的に確認できるのです。頭の中では想像できても、においの発生源が別ならややこしくなります。目で見ることがどう対処するかの解決に繋がっていくのです。
先ほど述べた通り、においや暖かい空気は上へ上へと上がっていきます。それを踏まえて色付けしてみてくださいね。
実はこのマーキングは、同じルートで「暖かさが上がっていくルート」と「冷気が落ちてくるルート」を一緒に検証できて非常に便利です。目に見えないものだからこそ、図面上では「視覚的」にわかるように記載しておくと、失敗は少なくて済むということ。
このチェックによって、換気口の位置を考えたり、そもそもの間取りを考えたり、掃除のしやすいカウンターやキッチンを採用したり、色々変更事項が出てくるかもしれません。
においを絶つには換気(空気の入れ替え)が一番ですが、清掃も大切です。子育てしている、夫婦共働きで忙しく掃除があまりできない方などは、掃除が楽な設備を採用することも臭い対策には良い方法の一つです。
くれぐれもハイスペックすぎるものにはご用心くださいね!使わないという結果を招くことはしばしば。
においの行方をたどってみる方法。
ぜひご参考にしてみて下さい。