◇ペットと一緒に住む住宅の床材
ペットと暮らす家を目指して検討している方に向けて、前回クロスの選び方について解説しました。
(ペットと暮らす場合のクロス選びのコツ! 参照)
今回は、床材をどのように選ぶべきなのかを解説したいと思います。
ちなみに内装の営業マンではありませんので、特定の商品をご紹介するわけではありませんのでご了承下さい。
ペットと共に暮らす時のオーナーの悩みの一つ。
それは噛む・ひっかくなどで家の中があちこち傷ついてしまうこと。せっかく素敵なマイホームを実現させたのに、既にボロボロ…なんてことになりかねません。
逆に考えると、ペットと住むということはいつもキレイを保つのが非常に難しいということです。
家の内装を考えるとき、ペットに対してどんな対策ができるのかを知ると、少しでもストレスなく生活できる可能性がありますよね。対策としては、クロスを選択するときと同様に、2つの考え方から見ていきましょう。
◉「傷に強くするのか」
◉「傷ついても貼り替えやすくするのか」
この考え方を元に【噛む、ひっかく】ことによる傷などについて解説していきます。
◇2種類の選び方を解説
動物は爪や肉球、毛が足の裏にありますよね。本来は、土や草の上などを歩行するために色々と進化を遂げて、現在の構成になったわけです。そこに人間のエゴがのっかった結果、ペットにとって住みずらいことになっているということを忘れてはいけません。
ペットは家族の一員として、より人の近くに暮らす、つまり家の中で生活するのが今のペット事情です。大切な家族だからこそ、ペットも人も共に長く楽しく暮らしたい。それ故に、健康面も考えてあげるべき点なんです。
では対策を見ていきましょう。
◆「傷に強くする方法」
強さ的に考えると、やはりフローリングは傷に強くて良いように思います。
ですが、ペットにとってみると爪で引っ掛けて走るのが本能ですので、滑るのはストレスもかかりますし、そもそも転びやすくて危険です。
動物にとって歩きづらい床は健康被害に繋がります。ツルツルのフローリングは滑りやすく、関節の脱臼を起こしやすくなります。
犬・猫は肉球という滑り止めで、フローリングでも生活できる種類もいるでしょう。ですが、ウサギなどの小動物を飼っている方も増えてきており、彼らは足の裏が毛で覆われているのでツルツルと滑ってしまいフローリングの床では歩くことができません。
行動範囲が制限できるというメリットはありますが、床材を工夫しなければケージの外では遊べないことになります。
当たり前のことですが、床材選びには「何の動物なのか」「どんな性格なのか」を飼い主は把握する必要がありますね。
フローリングは傷に対して強度を有しますが、滑りやすいというデメリットを持っています。
しかしながら、絨毯やカーペットはダニの生息地でもあり、ペットの毛も絡みつきますので、アレルギーの原因にもなりやすくこまめに清掃が必要です。
フローリングのデメリットを解消するために、フロアコーティングを施すという選択があります。
相場としては、1m2あたり2,000円~5,000円くらいです。
他には滑りにくい合板フローリングや、クッションフロアという手段もあります。
詳しくご説明いたしませんが、いろいろとリサーチしてみてください。
清掃のしやすさ、滑りにくい、傷つきにくい。
この3点を考慮しておけば、フローリングでも可能だということになります。
◆「張り替えやすくする方法」
傷だらけになっても、張り替えやすくしておけばよいという考え方で進めるという方法もあります。
そして貼り替えやすいものとなると、カーペットやラグなどが挙げられますね。これらは滑りにくいのが特徴で、ペットは足の裏全体を使って行動できます。
ただし、繊維でできているカーペットは毛羽立ちがおきてしまい、すぐダメになってしまいます。
ではどうしたら良いのでしょうか。
まずはクロスと同じで、2択になります。
「毛羽立ちずらいものを選ぶ」のか、「貼り替えやすいものを選ぶ」のか。
「毛羽立ちずらいもの」についてですが、カーペットには2種類あるのを理解しておく必要があります。
絨毯を形成している「毛」の部分は「パイル」と言われます。そしてそのパイルを設置する方法は2つあり、「ループパイル」と「カットパイル」というものです。
ループパイルはその名の通り、輪ができていますから爪が引っかかります。なので、お勧めは「毛足の短いカットパイル式のカーペット」を選定すること。タイルカーペット式が多くありますので、貼り替えも含めて考えると、良い選択だと思います。
「貼り替えやすいもの」はタイルカーペットか、ラグマットかのどちらかになるでしょう。ただし、フローリングの上にただ並べたようなものでは、一緒になってづれてしまうだけなので、しっかりと接着する必要があります。
そうなると、容易に張替ができるものではなくなり、あまりよい方法と言えなくなってしまいます。
タイルカーペットは部屋全面に敷き詰め、壁にピッタリと付いていれば接着剤を使用しなくてもズレる心配はありませんが、建具やサッシ部分があるとズレてしまう可能性があります。
対策は「カーペット用の両面テープ」でポイントごとに貼ること。タイルカーペットも吸着加工が施されているものを選択しましょう。
タイルカーペットは汚れた部分だけ外して洗えるメリットがあるので、そこを発揮できるもの、つまり洗えるタイプのものを選択します。遊び毛がすくないポリエステル・ナイロン素材がオススメです。
各メーカーは多数の商品を打ち出しているので、これもリサーチしてみるとよいと思います。
カーペットタイプは劣化し張り替えする必要があるので、抗菌加工や強度ばかりにこだわって高価なものを選択するのはオススメできません。噛まれてボロボロになってもいつでも交換できるように安価なものをオススメします。
長い目で見ると、床は「強くする」方法が有利と考えます。掃除もラクにできます。ただ、安易に考えるのではなく、自分のスタイルに合ったものを、しっかりとデメリットも踏まえて考えていくのがベター。
そうやって悩んであげることも含めて、「ペットと一緒に暮らす」ということなのかもしれません。
どちらがペットに合っているか、そして自分のスタイルに合っているのかを、しっかりと検討してみてくださいね。