◇チェックするべき「視線の先」
ある程度間取りが進んできた段階で、ぜひ一度チェックしてほしい項目があります。
それは「来客者の視線」です。
◎まずは外からきた来客者が、インターホンを押すときの話です。
玄関ドアの前に立った来客者が、玄関ドアのガラスを覗いたとします。その視線の延長線上に、もしもリビングドアの窓があったとします。この時点で、外からリビングが丸見えになるというのはお分かりですね?
チェックしてほしい視線というのは、つまりそういうことです。
◎次に玄関の中に入り、接客している状態の話です。
何気にリビングドアのガラスを覗いたとします。その視線の延長線上に、洗面所のドアが開けっぱなしだったとしましょう。すると洗面所の中が丸見えになるというのはお分かりですね。
つまりそういうことです。
視線は「線」という文字が入るように、直線で進みます。つまり間取りの検討段階で、必ず予測できるはずなのです。
以前、来客動線のお話しをしました。
見られてはいけない部分を明確にし、来客者の動線を想定し、どこまでをよしとするのかを知る必要があるということをお話ししました。
(提案図のチェックポイント④ 来客動線 参照)
そこからも言えることは、「他人にどう見られたいのか」ということです。家や家族の印象が決まってしまうくらい、他人の視線というのは、少なからず気にしなければならないもの。それを、間取り図の段階で想定するということが重要なのです。
視線は直線で進むといいましたが、たまに変化球も使います。それはどういうときかというと、玄関に身だしなみチェック用の「姿見鏡」を置いた場合です。
反射してキッチンの裏側が見える、なんてことも現実的に失敗事例としてあるのです。玄関側を背にした対面式のキッチンの作りなどは、まさに変化球が来たらストライクでしょう。
では、次は違うパターンも見てみましょう。
◇意外と見えちゃう人の家
他人の家の中ってカーテンが開いていたり、人が動いていたりすると、見る気がなくても見えてしまいませんか?
これは人間の動物的反射反応の一部ですので、おかしなことではありません。理性の問題もありますが。
そんな他人の視線の先にあるもの。それは玄関に限ったことではありません。
リビングが道路に向かっている場合。
隣の家の窓がある場合。
寝室の窓が公園を向いている場合 など。
実にいろんなパターンがあるわけです。
家は生活の場。当然プライバシーを見られていい時もあれば、わるい時もある。これは当たり前の話です。
もしも汚れた部屋を3回、「たまたま」見られた場合、「あそこのお家はいつも汚い」とウワサされるなんてこともあります。こんな風に家の印象を決められるのは納得いきませんよね!
雨風をしのぐだけが家の用途ではありません。プライバシーを確保するという機能もなければいけません。人に見せたくないものがぎっしり詰まった家ですから、プライバシーは生活にとっては超重要ポイント。
隠していたはずのものが、見えてしまうというのは、不本意以外の何者でもありませんよね。それが後になって誰かに教えられるというのも、顔が真っ赤になってしまいます。「洗面所が丸見えよ!」なんて・・・。
◇視線対策はあるのか!?
では対策は何があるでしょうか?
来客者の視線を考えるときには、現実の住宅を体感するというよりも、むしろ間取り図段階のほうが検討しやすいというもの。なぜなら、図面に定規を使って直線を引くとわかるからです。
まずは、間取り図の中に玄関に立つ来客者の絵をかきます。
そしてそこから、窓に向かって直線を引く。そうするだけで、どこまで見えている範囲なのかがわかります。
それがわかれば、あとはそれを対処するだけのことです。
◇視線をチェックして、ドアを移動できるなら移動する。
◇できないならスリガラスにする。
ドアの移動は開く方向・引く方向、開口サイズ、向きなど使い勝手のいいように考えられて採用していますから、なかなか変更が難しい方は多いですよね。
その反面スリガラスにするのはデザインの変更ですので、割と簡単です。
ただ、安易に変更してしまうということではなう、機能的に問題ないかも判別していきましょう。
ドアの窓には二つの意味があり、採光と、人がいるのかいないのかの確認の二つです。
これをスリガラスにすると、ドアから遠い部分は色の判別、何か動いてる?程度しか確認できなくなります。その辺にも注意して調整をしていけば、また一つ良い間取りになったということになるわけです。
まずはチェックが最も大事。次にドア・窓位置の変更(可能なら)。そして戸のデザイン検討。
この流れで検討してみてください。
間取り検討において、一番の敵は「気付かないこと」にあるのです。
そういう、気づかないことを中心に発信しておりますので、ぜひご参考にしてみて下さい。