◇地震の時にはトイレが安全?
地震大国の日本。度々起こる地震に備えは重要です。
食料、水などの備蓄はもちろんですが、家の中の地震への備えはしっかりとしていますか?もし地震が起きたとき、家の中でどこが安全なのか、どう行動したら良いのかも知る必要があります。
自分の身はまずは自分で、できる範囲で守らなければなりません。
「いったいどうしたらいいの?」
これだけ安全意識が高まってきていますので、一度も考えたことがないという人はもう少ないと思います。
例えば地震が発生した時、家の中にいたときを想定して考えてみましょう。そんな中で、こんな話は聞いたことがないでしょうか。
【地震の時にはトイレに行くのが一番安全】
これは本当なのでしょうか。本当なのであればそれはなぜなのでしょうか。
今回はこれについて、建築士の観点で解説していきましょう。
◇トイレが地震に強い“3つの理由”
結論から言うと『地震の時にはトイレが安全』というのは、事実です。
それには3つの理由があります。ただし、条件も加味されてのことですので、それを踏まえて解説して行きましょう。
◆理由その1 ~家具が少ない~
地震で命を落とす原因の一つに、「家具の下敷きになった」というものがあります。
大きな地震があるたびに、家具の固定グッズが売れるという事実がある通り、皆さんもこのことはご理解ありますね?
しかし、トイレには倒れてくるべき家具がありません。したがって家具の下敷きになって命を落とすという危険がない分、安全といえるのです。大前提として、大きな地震の時には必ず家具は倒れると思ってください。
棚の中のものは出てきます。家具だけではありません。家電の倒壊も要注意です!大型で重たいから大丈夫だ、なんて根拠はありません。冷蔵庫などの大型家電も固定が必要なんです。
◉家具の固定
◉タンスの下に新聞紙を入れておく
◉家電の固定
◉本棚に留め金などの落下防止策
今更感はありますが、この基本的で重要なポイント忘れないでください!!
◆理由その2 ~窓が小さい~
地震が起こると、建物は変形します。それと共に「窓」も変形します。そして最も耐力の少ない窓ガラスは破損し、飛び散ります。それを直接受けてケガをする、もしくはガラスの破片を踏んでケガをする事例はとても多いのです。
トイレには、大抵の場合小さな窓ガラスが1つある程度です。したがって窓が割れた場合にも、飛び散るガラスは少ないのです。また小さい窓は、大きい窓よりも変形が少ないため、そもそもガラスは割れづらく、安全と言えます。
そんな窓の安全策はご存知ですか?ガラスに貼る「飛散防止フィルム」といわれるものが、ホームセンターなどで販売してます。ぜひチェックしてみてください。
そして、レースのカーテンなどを閉めておくのも有効ですので覚えておいてくださいね。
窓ガラスの破損被害が少ないといえるトイレ、
地震のとき、トイレ以外の部屋で避難するときは家具や窓からできるだけ離れ、ガラスの破損被害から免れましょう。
◉ガラス飛散防止フィルムの使用
◉レースのカーテンを閉めておく
◉地震時、窓から離れる
これらのポイントも覚えておいてください。
◆理由その3 〜部屋が小さい〜
トイレは、他の部屋に比べて面積が小さいというのがポイントです。
思い浮かべてみてください。普通の長さの割り箸を折るための力と、10センチほどの割り箸を折る力とでは、全く違いますよね?
これと同じで、部屋が小さいと言う事はそれを取り囲む、梁などの部材の長さが短いと言うことです。 そのためトイレという空間を作る構造は、大きな部屋よりも破損する可能性が低いと言え、安全であると言うことになるのです。
今の耐震基準を満たしている建物は基本的に安全と言えますが、実際にトイレに避難をするのであれば、ドア自体が開かなくなってしまう恐れもあるため、いつでも出れるように扉は開けましょう。
◉閉じ込められる可能性もある(地震の揺れ方、耐震強度などから)
◉ドアを開けて出口の確保
これらも覚えていて損はありませんね。
◇まとめ
おわかりいただけたでしょうか。トイレとは、万が一建物が倒壊してしまったとしても、空間を保持している可能性の高い場所なのです。
気持ち的な部分もあると思いますが、非常食などをストックしておく場所としては、トイレが一番適しているかもしれませんね。トイレが地震に強いというのは、都市伝説ではなく、現実的に根拠のあることなのです。
大地震で家屋倒壊してしまって、生き残っている人は屋外に逃げていた人が多いと言われていますが、屋外が安全とは限りません。落下物があるかもしれません。しかもその落下物は重量で大きなものだったりします。
これから新築する家は耐震強度が高いので、家の中で避難するほうが安全といえるかもしれません。
物だけでなく、心の準備はできていますか?
突然の出来事にも冷静に対応できる、心の強さも身につけましょう。