◇窓はご近所トラブルの原因
窓を開けると見えるものはどんなものでしょうか。
良い景色ですか?
広い庭ですか?
それとも道路ですか?
こんな話があります。
『窓を開けると、窓が見えます』
自分の家の窓に目を向けると、お隣の窓が見えてしまっているのです。これは最悪の失敗であり、取り返しのつかない事例の1つです。
そして特に都会になるほど多い失敗談なのです。都会は敷地が狭いことが多く、そこに家を建てるとなると、法律の範囲内で敷地境界線ギリギリに建設していることが多いため、相手の窓の位置が重なるということが多いんです。
おとなりは隣同士なだけで、実際は他人なんです。窓が被ったがために、プライベートな空間も、くつろぎの空間も、こんな近い他人の目をいつも気にして生活することになるということになるのです。
建ててから失敗に気付き、目隠しの配慮をする。そしていつもカーテンは閉めっぱなし。窓の位置が被っているせいでお隣と仲良くできない。目隠しの請求をしたり、されたり・・・。
もっと最悪の場合は、裁判する羽目になるなんてことだってありえるのです。
窓の位置が同じだったことが原因でご近所とトラブルに遭うのは避けたいところ。せっかく素敵な住まいを手に入れて、これから楽しい新生活が待っているはずなのに。
そんな悪夢を見ない為にも、しっかり対策をする必要があります。
◇窓のルールは同じ。だからかぶる。
まず考えておかなければいけないのは、「なぜ窓は必要なのでしょうか」という話です。
◉採光上の必要性
◉開放的な間取りに
◉換気の役割
◉排煙上の必要性
普通に考えてもやっぱり部屋に窓は必要と考えますよね。法律で考えても、普通に考えても、どちらにせよ必要なものなんです。
家と家との間隔が近い場合、もしくは家と家とに挟まれている敷地の場合。どうしても隣の家側にも窓をとらなければいけない場面が出てきます。
法律上、「人が継続して作業や執務を行う部屋」のことを『居室』といい、そこには必ず窓からの採光が必要です。子供部屋も寝室も、家事室だってこれに該当します。なので、どうしてもお隣側に窓を設けなければならなくなってしまうのです。
家の作りや、窓の設置場所には、ある程度のルール、一般的な考え方があります。
例えばどの家も天井高さは大きくは変わらなかったり。窓をつける高さも、腰より上につけることが多かったり。テラス窓であれば足元から180㎝以上の高さの窓を取り付ける方も多いはず。
そんな理由から、大きさも高さも方角も、だいたい皆さん同じ位置になります。となれば、実際には横方向の位置くらいしか自由がないと言えるのです。だから、結果として同じ位置に窓がきてしまうということが頻繁におきてしまう失敗事例になるのです。
窓かぶりを避ける選択肢というのは、実は非常に少ないんですね。
◇トラブルは自ら回避するしかない
先ほどの話からわかるように、もしも隣の窓の位置を気にせず計画したとすると、これがまたうまい具合にピッタリと同じ位置になるんです。
しかしこの状況、悪いのは相手の家でしょうか?いいえ。もちろん新しく建てたこちらが断然責任が発生します。相手の家はもともとあったわけですから。停まっている車に追突したら、追突した側が悪いのと同じ理屈です。
こちらの脱衣室の窓と、お隣のリビングの窓がピッタリなんてことも十分にあり得る話となり、これはお互いに迷惑な話になってしまいます。
法律上、1m未満の窓被りは目隠しの請求ができるとされていたりしますので、回避できるトラブルなら、前もって行動するべきです。
自分のために。またお隣の家のために。やるべきことは見えてきましたね?
まずは、お隣の家の窓の位置を確認して、間取り図に書いてみましょう。できるなら、どんな部屋の窓なのかもわかると更に良いですね。設計担当に任せるのではなく、一度は必ず自分の目でチェックをするべきだと考えます。
そしてもし、設計担当から提案された間取りが近隣に対する配慮がされていないものだったなら、しっかり伝えるべきです。深く問題視せずに窓被りのまま工事を進めるようなHMとなると、今後の対応や、施工後の対応も問題がありそうな気がしますね。不安になる場合は、その上の人に訴えるべきかもしれません。
それでも、どうしてもこの位置に窓を取り付けたい!でも被っている!という場合はどうしたらいいのか。
これはあまり適切なアドバイスではありませんが、不透明な「すりガラス」や「ガラスフィルム」というもので目隠しをする方法もあります。また、ルーバーというものを設置して、一定の方向からは見あるが、それ以外の方向からは見えないというような工夫をするという手法もあります。
その他にも植栽を植える、小さく細い窓の採用する、上の方や足元に設置するなどと対応は色々ありますが、窓があることには変わりないことをお忘れなく。慎重に検討する必要があります。
いづれにせよ、自分たちさえよければよいというような家は、快適な素敵な家とは決して言えません。常識として周囲への配慮も考えた上で、ステキなマイホームを計画してくださいね。
窓と窓の関係性、ぜひ見落としのございませんように。ご参考になば幸いです。