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通路、廊下の適切な幅とは?4段階の考え方


▼通路幅はどう決める?▼

通路の幅はどの程度取れていますか?

 

通路のお話しをしますが、そもそもどこの部分かとお考えでしょうか?

 

廊下も通路です。階段も通路です。家具と壁の間も通路ですし、キッチンとダイニングテーブルの間だって通路です。

一概に「通路」といっても様々なものがありますが、その幅についての相談は多く寄せられています。

 

通路幅には基準の寸法というものはありますが、明確に決まりはありません。自由であるが故、決められず分からず悩むのです。ただ、一般的に動きやすい、過ごしやすいなど言われている寸法がありますので、簡単ではありますがお伝えします。

 

ぜひ参考にしてみてくださいね!

 

▼四段階で考えてみましょう

では、そんな「通路の幅」について解説したいと思います。

 

段階的には4段階に分かれます。

①910mm以上

②910mm

③600mm前後

④450mm前後

 

日本の住宅のほとんどは「メートル法」ではなく、「尺貫法」と言われる長さの単位を用いて計画されております。なので1尺=303mmが基本の単位になります。

 

そういう意味で、廊下や階段は一般的に910mmで計画されていることが多いと思います。

 

【①、②は壁の中心寸法で考えます】

①910mm以上

通路として考えた場合、非常にゆったりとした幅になります。

玄関からリビングにつながる通路を、ゆったりとしたものにするために1200mmや1500mmなどを採用する方も多く見られます。

 

910mmを超えてくる寸法になると、「通路」ではなく「空間」として認識するレベルになります。そのくらい広々とした感覚を持つことができる幅になります。

 

ちなみに車椅子での使用を考えると、1200mm幅は確保したいところですね。

 

②910mm

これは一般的な廊下や階段の幅になります。

皆さんも一番見慣れた幅なのではないでしょうか。昔から廊下幅は取り合えずこの幅にすることが多く、基本的に不自由はありません。

 

逆に言うと、左右が壁に囲まれている空間の幅としては、これが限界の狭さだともいえます。

これ以上狭くしてしまうと、圧迫感が生じてしまい兼ねません。

 

【③、④は実際の寸法で考えます】

③600mm前後

部屋の中で人が一人通ることを考えた最低限とっておきたい通路幅がこの寸法です。

例えば「ソファとダイニングテーブルの間」や「ベッドと机の間」、「ベッドと壁の間」など。

両側が壁ではないため、上部に開放感があってこそ成り立つ通路幅であり、1人であれば十分に通行できる幅になります。

 

買い物袋を下げてだとか、何かを持ちながら通るのであれば、本当はもう少しあったほうが良いですよね。

大人の肩幅が、ちょうどこのくらいだからです。

 

下の項目には実際どのくらいの幅があると過ごしやすいのか載せていますので参考にしてみてください。

 

④450mm前後

「通路」と呼ぶのであれば、これが限界の幅といえます。それも、体を少し横にして歩ける通路幅です。

基本的にはこれは考えないほうが良いという幅になるのですが、どうしても狭くなってしまう!というときの最後の大砦と思ってください。

 

これを崩すと、そこから先は非現実的ということになります。頻度としてほとんど通ることはないことと、特定の人間だけが通ること。最低限この条件を守った上で採用するようにしてください。

 

▼色々な寸法教えます

では、そんな「通路の幅」について解説したいと思います。

人は生活する中で、色々な動作をします。ご飯を食べたり、顔を洗ったり、くつろいだり。

 

どんな動作をするにも、人間には可動域というものがありますので、解放感を求めて広すぎても生活しづらくなってしまいます。

 

ではどのような行動のとき、どのくらいの幅や高さが必要なのでしょう?

 

◉ソファなど低い家具と壁の間

…上記でお伝えした通り、60㎝以上は必要です。自分の背丈以上の壁があるということは、肩がぶつからないサイズ以上が好ましいです。

 

◉テーブルを挟んでソファを向かい合わせる配置

縦方向は大体220~270㎝くらいのサイズが必要となります。

ただこの配置は対面しているため、応接セットのようなやや堅い雰囲気になりますね。

 

◉キッチン前

立って調理するばかりでなく、下の収納からフライパンを取り出したり、床を拭くなどの行動をしますから、キッチンと壁・キャビネットの間は90~120㎝はあるといいですね。

 

◉ダイニングテーブルの配置

座っている人の後ろを人が通るのであれば、110㎝以上であると窮屈さはあまり感じないと考えます。

 

◉お風呂場での場面

こどもと一緒の場合、大人はしゃがんだり椅子に座って洗ってあげるので120㎝以上あるほうが良いです。ユニットバスは1216や1616などの規格がありますので、複数なのか一人ずつなのかなど家族の入浴状況に合わせて選択してみてください。

 

色々な場面や使用する家具の大きさによって、一概には言えませんがレイアウトを考えるときの目安にしてみてください。

 

 

▼まとめ

通路は「広ければ広いほど良い」ということはありません。

無駄に広くする必要もありませんし、狭すぎると使えません。

 

何も考えずに「とりあえず910mm」ということでも、基本的には構いませんが、はあまり好ましくありません。何に使うのか、どういう人が通るのか。この辺をしっかりと考慮したうえで、採用するようにしてください。

 

参考にしていただければ幸いです。