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【坪単価】について学ぼう!

◆【坪単価】って知ってますか?

家を建てよう!となった時に誰もが気になるのは、価格のことではないでしょうか。

 

「いったいいくらあれば家が建てられるのだろう?」「私たちでも家を建てられるのだろうか?」という疑問を抱き、展示場を訪れる方も多いのではないでしょうか。

 

家を建てよう!と思い立った頃は、まだ家づくりに関する知識も少ないため、どこを見て高い安いを判断すればよいのか分からないと思います。

 

そして、ふらっと入った展示場で「坪単価○万円で家を建てられますよ」「この家が坪単価○万円は安いですよ!」などと言われ、疑問が解決するどころか、ますます頭の中が???になってしまう場合があります。

 

さて、この【坪単価】という数字の意味をご存知でしょうか。

 

きちんとした意味が分からず、このふわっとした数字に翻弄されないためにも、今日はしっかりと坪単価について学んでいってください。

 

◆【坪単価】とは?

【坪単価】

=【住宅本体の金額】÷【面積(坪)】

つまり、【坪単価】とは、【1坪あたりの住宅の金額】のことを指します。

 

【坪単価】は、ハウスメーカーを決めたり、家を購入したりする際に、いくらくらいするのかという建築費用の比較に用いる数字です。

 

そのため、比較対象になるように【住宅本体の金額】に含まれないものがあります。

 

【坪単価】に含まれないものの一部を紹介します。

○外構工事(カーポート含む)…工事をする人もいればしない人もいるため

○絨毯・カーテン・ソファなどの家具…取り外し、後付け設置が可能で建物ではないため

○太陽光パネル・浄化槽…設置する人もいればしない人もいるため

○地盤改良・杭工事…土地特有のものであり、これらが必要でない住宅もあるため

○水道・下水道の引き込み工事…建物を建てる土地によって変わるため

 

なんとなくお分かりいただけたでしょうか。

 

このように、【住宅本体の金額】とは、業者や場所を問わずどこで家を建てたとしてもかかってくる建物のみの金額のことを指します。

 

なるほど、それでは【坪単価】を比較すると、安く建てられるハウスメーカーが分かるのか!と思ったあなたに悲報です。

 

実は、【坪単価】だけでは「高い」「安い」の判断をすることができないのです。

 

◆【坪単価】の闇

なぜ【坪単価】で価格の比較ができないのかについてお話します。

 

それは、【坪単価】の算出方法に関して、きちんとした決まりがないからです。

 

先ほどお話した【坪単価】に含まれないものというのは、厳密には一般的には含まないものという意味であり、絶対に含んではいけないものではないため、以下の図のようなことが起こります。

  

とはいえ、【住宅本体の価格】を増やすことは、【坪単価】を上げてしまうので、好んでするハウスメーカーは少ないでしょう。

 

わが社は【坪単価】高いですよ!なんていうのはセールス文句になりませんからね…。

 

しかし、気を付けなければならないこともあります。

 

他にも、【坪単価】を算出する際に、【住宅の本体価格】を【面積(坪)】で割るとお話しましたが、この【面積(坪)】というのも曖昧なものなのです。

 

というのも、【住宅本体の価格】を延床面積(建物の各階の床面積の合計)で割るのが一般的ですが、稀に施工面積(ポーチや吹き抜けバルコニーなども含めた面積)で割って算出しているハウスメーカーもあります。

 

そのため、こんなことも起こってしまうのです…。

これらのことから、【坪単価】のみを見て「高い」「安い」と言い切ることは難しいのです。

 

それぞれ提示された【坪単価】に何が含まれているのかを理解することが必要となりますが、簡単なことではありません。

 

【坪単価】はあくまで目安の金額として考える方が気楽でしょう。

 

◆【坪単価】の謎

「建物が小さいほど坪単価が高くなります」なんて言葉を聞いたことがありますか?

 

こんなことを言われると、「え…小さい家を建てるのって損なの?どういうこと?」となりますね。

 

今回はこの謎についてもお話をしていきます。

 

【住宅本体の価格】は、固定費と変動費から成り立っています。

 

固定費とは、玄関ドアやキッチン、浴室やトイレなどのどんな家でも必要となってくる住宅設備にかかるお金のことです。

 

これは、大きい家でも小さい家でも同じ金額がかかります。

 

変動費とは、柱や床材、外壁など家の大きさによって変わってくるお金のことです。

 

つまり、家の大きさが変わっても固定費は変わらず、変動費が変わるだけなのです。

 

例えば、40坪総額2000万円、坪単価50万円の家を30坪にしたとしても、変動費しか変わらないため、総額1500万円とはならないのです。

上の図のように、家全体を見ると固定費である住宅設備が占める割合が大きいのは小さい家です。

 

これが坪数の少ない小さい家の方が坪単価が高くなる理由なのですが、まだまだピンとこないという方のために、もうひとつ例を挙げて説明していきます。

 

 

まずは、【坪単価】の求め方をおさらいをしていきましょう。

【坪単価】

=【住宅本体の価格(固定費+変動費)】÷【面積(坪)】

 

今回は、ひとつの例として300万円のキッチンについて考えていきましょう。

 

大きい家でも小さい家でも生活をしていく上でキッチンは必要となりますので、キッチンにかかる300万という価格は固定費です。

 

つまり、キッチン300万は【住宅本体の価格】に入ります。

 

それではさっそく、このキッチン300万のみに対する坪単価を考えてみましょう。

 

【坪単価】を求める公式にあてはめると、

【キッチンの坪単価】

=【キッチン300万】÷【面積(坪)】

となります。

 

では、仮に大きい家を50坪、小さい家を30坪として計算式にあてはめてみましょう。

 

同じキッチンにもかかわらず、家の大きさが違うことで、キッチンに対する坪単価に4万円もの差が出てきていることにお気づきでしょうか?

 

このように、固定費に含まれる住宅設備に対する坪単価の差額分、大きい家の【坪単価】の方が安くなるのです。

 

キッチンに限らず、トイレ、お風呂、玄関ドア、階段(2階建ての場合)、洗面など数々の固定費に含まれる住宅設備の差額の総額を考えると納得がいくのではないでしょうか。

 

これが、「建物が小さいほど坪単価が高くなる」といわれる真相なのです。

 

◆まとめ

少しは【坪単価】について理解していただけたでしょうか?

 

ここまで様々な説明をしてきましたが、最後に忠告です。

 

もし、【坪単価】が高くなるなら小さい家は嫌だと思った方、部屋を増やして【坪単価】を下げたいと思った方がいらっしゃれば、よく考えてみてください。

 

例えば、1台300万の車を購入する際に、「今なら2台で500万にしますよ」と言われたとしましょう。

 

たとえ車1台の単価が50万安いとしても、必要のない車を+200万も出して購入するでしょうか?

 

きっと購入しない人がほとんどでしょう。

 

こう考えると、何でもないことも、家となると、何千万分の数十万となると、感覚が鈍ってしまうものです。

 

何回も言うようですが、【坪単価】はあくまで目安としての金額です。

 

【坪単価】だけで判断するのではなく、きちんとした見積りをもらって判断するのが賢明です。

 

自分にとって必要な大きさ、必要な住宅設備を選んで、納得のいく家づくりをしていただけたらうれしいです。

 

ご参考になれば幸いです。