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「和室の窓」高さはどうする?


◆和室は奥深く伝統のあるもの?

「和室」にどのような印象をおもちですか?

 

今日の和室は、鎌倉時代~室町時代にかけて発達したといわれており、昔日本で使われた建築様式が受け継がれています。

 

しかし、これは今の時代でも言えることですが、人々の生活スタイルや文化は時代とともに変化していくため、受け継がれている様式はひとつではありません。

 

代表的なものでは、銀閣寺の東求堂が今の和室の原型といわれており、話し出せば奥が深く、ちょっとやそっとの解説では済まないのです。

 

このようなお話をすると、歴史的背景があるというだけで「和室」がどうも堅苦しく感じてしまいます・・・。

 

しかし、どうでしょう。冒頭で思い浮かべた「和室」の印象はこんなにも堅苦しいものだったでしょうか。

 

お昼寝をしたら気持ちよさそう、たたみの香りが落ち着くなどといった、ざっくりしたものではなかったでしょうか。

 

そうなんです。多くの人が、「和室」に本格さを求めていないのです。

 

たたみに使われる「イグサ」には、部屋の湿度が高いときは水分を吸収し、乾燥しているときには水分を放出するという機能があります。

 

これは、四季があり高温多湿な日本で快適に過ごすにはもってこいの機能なのです。

 

さて、今回の記事では、和室をつくる方の悩みに多い、和室の窓についてお話します。

 

先ほど申し上げたように、今回は本格的ではない「和室」の話ですので、「たたみがある和風の部屋」くらいの心持で読んでいただけたらと思います。

 

◆3種類の窓高さ。その特徴は?

窓についての悩みといえど、「大きさ」、「形」、「高さ」と様々なものがあります。

 

今回は、この中の「高さ」にスポットを当ててお話をしていきます。

 

あくまで「高さ」のお話しであり、「方角」には触れません。ご容赦くださいね。

 

方角のお話は、また別の機会にできたらと思います。

 

それでは、和室の窓を選ぶ上で重要な「高さの関係性」について見ていきましょう。

 

高さは大きく、以下の3つに分けることができます。

 

①天井に近い壁面に設置する「高窓」

②床に接する位置にある「地窓」

③「高窓」と「地窓」の中間にある「腰窓」

 

それぞれ、特徴と注意点を説明していきます。

 

①天井に近い壁面に設置する【高窓】

  

高い位置から光が入ってくるので、部屋の奥まで光が届くような効率的な採光ができます。

 

和室は基本的に少しトーンが落ち着いているくらいが似合う空間でもあります。

 

そういう意味では少し物足りないくらいの「高窓」が良いという考え方もあります。

 

とはいえ、座っている人に対しての採光としては弱いため、リビングなどの明るい部屋に接している方が良いでしょう。

 

また、たたみの原材料である「イグサ」は自然の素材なので、日光によって色あせがしやすいという特徴もあります。

 

そのため、「高窓」にすることで直射日光が当たりづらくなり、たたみが長持ちすることにも繋がります。

 

他にも、あたたかい空気に乗って部屋の上の方に溜まってしまったにおいや煙を外に出すという点においては、「高窓」は有利といえるでしょう。

 

せっかく「高窓」を設置するのであれば、はめ殺しではなく、立った状態で開閉ができるようにすると良いですね。

 

②床に接する位置にある【地窓】

 

これは他の国ではあまり見られない、日本独特な窓の一つです。

 

これは、和室が中心だった昔の日本で、たたみを掃いて集めた埃を外へ掃き出すためにつくられたものでした。

 

しかし、現在で、そんな理由で「地窓」を設置する人はほとんどいないかと思います。

 

和室という空間は「座る」ということが基本になりますので、座った時の採光が望める、目線の先がいかに心地よいものかといった、くつろぐことをメインとして考えられた手法です。

  

座った時に、「地窓」から見える少しもの足りない空間が奥ゆかしいのです。小さな庭園をつくったり、何か四季を感じられるものを植えてみたり…和室の強みを存分に生かすのもいいですね。

  

しかし、窓を設置する方角によっては、たたみと窓の距離が近すぎて、たたみの色あせが進みやすいということも起こりかねません。(南面や西面への設置は注意が必要)

 

とはいえ、「地窓」は風邪の通りを良くするということにおいてメリットのある手法です。

 

うまく取り入れていてはいかがでしょうか。

 

③中間にある「腰窓」

 

これは、採用する方も多い、ごく一般的なものです。

 

見栄えや雰囲気などに強いこだわりがなく、使い勝手の良い空間を造りたいのであれば、ぜひこの窓にするべきです。

 

特に、なんとなく和室が欲しい方は腰窓を採用すると間違いないと思います。

 

採光もしっかりと確保でき、かつたたみの劣化も早くないという、特段デメリットの見当たらない手法です。

 

◆奥が深すぎる和室

今回は、和室の窓の高さについてお話をしました。

 

「高窓」、「地窓」、「腰窓」、3種イメージできたでしょうか?

 

どれを選ぼうかと考えた方も多いかと思いますが、実は「高窓」と「地窓」を組み合わせるという方法も有効的です。

 

「暖かい空気は上へ行く」、「冷たい空気は下へ行く」という性質を利用することができ、自然と空気が流れる家にすることができるのです。

 

また、和室の雰囲気を大切にしたいという方は多いと思います。

 

腰窓ひとつをとっても和室の雰囲気に合うような「形(例:丸窓)」や「質(例:障子紙風ガラス)」を選ぶという方法もあります。

 

このように、考え方は無限大なのです。 

 

ですが、漠然と考えるよりも、3つの窓の特徴を知った上で考える方が、見えてくるものがあると思います。

  

知れば知るほどに難しい「和室」という空間。その魅力に、一生を捧げる人もいるぐらいですから、その奥深さは計り知れません。

 

もし検討時間に余裕があるのであれば、この記事を入口にして、少し勉強してみるのも面白いと思います。

 

自分の納得のいく和室を作ってくださいね!ご参考になれば幸いです。