◆贅沢な2階トイレは、ただの憧れ?
2階建てで計画の住宅の場合、2階にトイレは必要なのでしょうか。
2階にトイレがある家は、少し憧れがありませんか?僕はあこがれていました。なんとなく、リッチな気がして。
間取りを見せていただくと、2階建ての住宅の場合、肌感覚でしかありませんがだいたい3割くらいの割合で、2階にもトイレが計画されています。
トイレが2階にもあると、設備的な費用がグッと上がります。そもそも2階に水廻りがほかにある場合はそこまでではありませんが、トイレだけを2階に計画しようとした場合、特に高価になります。
給水も排水も、換気設備もそのためだけに存在させなければならず、単純に増えてしまうからです。
2階にトイレを設置するかしないか。その選択だけで、100~200万円のコストが上がります。
そのコストを背負ってまで2階にも設置しなければいけない場合と、1階にしかない場合の、その判断基準は何なのでしょうか?
今回は【どんな場合に2階にトイレを設置するべきなのか】を解説していきます。
◆「いらない」と感じた事例と理由
まず、僕が「いらないんじゃない?」と感じた事例から紹介します。
それは「1階も2階も、階段のすぐ横に設置されていた」という事例です。
これは、階段が間に挟まっているにしろ、言ってしまえば「廊下のあっち側とこっち側にトイレがある」のと同じことになります。イメージできますか?
廊下に比べると、階段は昇降しなければなりませんので、確かに多少の煩わしさはあるかもしれません。ただ、そんなに近くにトイレがあるということが、はっきり言って「贅沢品」だと感じました。
1階間取り図、2階間取り図。それぞれを見ると、とてもバランスが良い配置に見えます。
ですがよく考えてみてください。階段を介してつなげると、ものすごく近い位置にトイレが2つあるということになるのです。
これは、仮に2階にトイレがなくても、階段さえ降りればそこにトイレがあるということなのです。
◆「必要」の判断基準は何か?
この事例を踏まえたうえで、2階にトイレを配置するときの判断基準をお話しします。
それは『距離感』です。
1階と2階の間取り図は別々に描かれます。それゆえ、あたかも離れているように感じがちです。
ですが、仮に階段を「廊下」に置き換えて、1階と2階の間取りをつなげてみたとしましょう。そうすると、また新しい見え方が出てきます。
住宅で生活する上では、およそ15m程度で「遠い」と感じることが多いようです。
例えば、洗濯してから干しに行くまでの距離が、階段を含めて15m以上になると、ストレスを感じやすいということなのです。
これを「トイレ」に当てはめてください。
そもそも玄関付近にトイレを配置するということの理由は何かというと、それは「2階からのアクセス」を見据えている部分があります。
つまり、1階からも2階からもアクセスしやすい場所だからこそ、玄関付近、つまり階段付近を選んでいるということなのです。そしてそれが常識になっているということなのです。
逆に言うと、2階にもトイレがある場合は、無理に玄関付近にトイレを配置する必要がないということにもなります。
一般的なモジュール(マス目)は、尺貫法で考えることが多く、910mmのものがほとんどです。
このマス目を数えてみたときに、17マスを超えてくるような距離を歩く動線が、どこかしらの部屋に発生するようなのであれば、それはきっと2か所設置するのは良い手法といえます。
◆コスパを考え、15mルールを!
何度も言いますが、単純に2階にトイレを設置するだけで、100~200万円もの金額が加算されます。もちろん場合によりますので、目安とお考え下さい。
そして当然、その分の故障・修理費用としてランニングコストもかかりますし、それだけ清掃の範囲も広がるということです。つまりカジノ負担が増えるということにもなるわけです。
その金額を支払ってでも、また日々の労力を増やしてでも設置すべきかどうか。
その判断基準に困ったのであれば、【トイレまで17マス以上の箇所があるかどうか】ということを、一つの材料にしていただければと思います。
そして2か所設置することに決めた場合、できればトイレ同士はできるだけ離れた場所にある方が、生活的な動線が短くなり、結果としてコストパフォーマンスが良いということになるのです。
ぜひ、ご参考にしてみていただければ幸いです。