◆予算の壁
安く理想通りの家が建てられたらいいな、これは誰もが考えることです。
しかし、多くの人が家づくり中に予算という壁にぶつかるでしょう。
今日は、家の形から見るコストの抑え方、家の形によって得られる良し悪しについてお話します。
◆シンプルが1番?
複雑な形の建物をつくると金額が上がる、こんな話を聞いたことがありませんか?
これは概ね正しい情報です。
逆を考えると、四角形の総2階建ての家にするとコストダウンにつながるということです。
では、なぜコストダウンになるのか、理由についてお話します。
理由①外壁面積の差
では、さっそく四角形の家と複雑な形の家を比べてみましょう。
上の図を見るとわかるように、面積はどちらも30㎡ですが、周りの線の長さはmとmになっています。
たかがmの差と思われるかもしれませんが、図では線でも、実際の立体の建物では外壁にあたります。
外壁面積が増えるということは、その分、外壁に用いられる資材や、中にいれられる断熱材などが多く必要ということになります。
そのため、当然金額は高くなります。
理由②コーナーの数の差
先ほどと同じように、四角形の家と複雑な形の家を比べてみましょう。
四角形の家のコーナーは4つ、複雑な形の家のコーナーはつとなっています。
コーナーには、コーナー専用の部材を使って外壁をはっていくのですが、面の部材よりもコーナーの部材は値段が高めになります。
そのため、コーナーが多い複雑な形の家はその分金額が上がるということになります。
◆複雑な形の家は性能が悪い?
複雑な形の家は性能が落ちるなんて言われていますが、これは絶対にそうというわけではありません。
ただ、性能が落ちる可能性が高いというのは、あながち間違いではありません。
先ほどの図をもう一度見てみましょう。
四角形の家はコーナーが4つ、つまり面も4枚というのに対して、複雑な形の家はコーナーがつ、面が枚となっています。
今の時代、様々な技術が向上しているのは確かですが、少なからず人の手が加わって家が建ちます。
例えば、外壁面に断熱材を仕込んでいくという作業、四角形の家と複雑な形の家、どちらがやりやすいでしょうか。
工作を例に考えてみましょう。
直方体と、星形の立体があります。
折り紙を貼り付けてくださいと言われたら、どちらが簡単そうですか?
また、どちらがうまく貼り付けられますか?
全員が直方体と答えると思います。これと同じです。
複雑な形にすると、シンプルな形に比べてミスが多くなります。
もちろん、完璧にこなしてくれる大工さんもたくさんいるはずですが、人間なので間違えることもあります。
そういう意味で、性能が落ちてしまう可能性が高くなると言えるのです。
こだわった住宅をつくろうとすると、複雑な形の家になりがちです。
様々なリスクを承知の上で選んだのであれば問題ありません。
家づくりをするにあたって、最も単純な形状こそが、性能も安定し、コストパフォーマンスも高いものということを頭の片隅に置いておいてもらえたらと思います。